このトレンド レポートでは、AI による行政サービスのサポート、生産性の向上、より良いコミュニティ支援のためのさまざまな方法を概説しています。以下では、レポートで紹介した AI 事例の詳細と、ジェネレーティブ AI の可能性についてご紹介します。
また AI は、行政サービスをコミュニティでより利用しやすくすることにも貢献しています。ミシガン州ディアボーンでは、人口の半数以上が家庭で英語以外の言語を話しています。アラビア語やスペイン語を話す人たちが自分の住む街について把握し、交流してサービスを活用できるように、市のウェブサイトに AI をデプロイする取り組みを行っています。
データドリブンな分析情報でコミュニティをサポート
行政機関は、より多くの情報に基づいた意思決定を行って最適なコミュニティ サポートを提供できるように、データセットを統合しています。たとえば、オクラホマ州は Google Cloud を採用して、資産、財務状況、住民の行政サービスの利用状況に関する全体像を安全に把握できるようにして、各コミュニティに合わせたサービスを迅速に提供しています。同州では、これまでにデータの提供元と行政機関の間で 23 ペタバイトのデータを統合しており、長期的には 189 の全機関に範囲を拡大する予定です。メンフィス市は、Google Cloud と SpringML(Google Cloud プレミア パートナー)と協力し、AI と ML を使用して道路の陥没の特定と修繕、街区の荒廃状況の判別を行いました。75% の陥没が特定されると予想され、道路、コミュニティ、住民および観光客のエクスペリエンスの改善が見込まれています。
気候変動レジリエンスとサステナビリティの向上
ハワイ州運輸局(HDOT)は、ビッグデータを活用して、気候変動に関するリスクの評価、投資の優先順位付け、住民の保護を行い、気候変動に対するレジリエンス、安全性、公平性に配慮した総合的なアプローチを実施しています。HDOT は、Google Climate Insights for natural resources と Google Climate Insights for infrastructure を導入してデータを収集し、気象災害への対応時間の改善、より正確な予測、より信頼性の高い災害対応計画の実施に役立てています。
ジェネレーティブ AI の可能性
ジェネレーティブ AI は既存のテクノロジーを基に構築されたものです。Google では、ジェネレーティブ AI を活用して、行政機関のお客様が現在行っている業務について、さらに補強できるよう引き続きサポートしていきたいと考えています。Google の大規模言語モデル(LLM)を利用したジェネレーティブ AI を使えば、行政機関のリーダーたちはさまざまなニーズに応えるコンテンツを自動生成できます。
たとえば、ジェネレーティブ AI では、モデル トレーニングのデータサイズと範囲を拡大することで、仮想エージェントが洞察力に富んだ自然な会話をリアルタイムに住民と行えるようになり、有効性を改善することができます。また、情報の抽出や紙ベースの処理の自動化を行い、行政機関の活動に関するサマリーやレポートを自動生成するシステムを構築することもできます。これらのレポートは、透明性とアカウンタビリティの向上や、リソースの最適な分配方法に関する意思決定の改善に役立つでしょう。さらに、ジェネレーティブ AI によりデータのパターンを識別し、傾向を予測して推奨事項を生成することで、業務の効率化を支援することも可能です。
一方で、テクノロジーの急激な進展に伴い、AI をインフラストラクチャや設計に組み込む際に、安全性とセキュリティを考慮することが行政機関にとっても非常に重要になっています。私たちは、Google の AI に関する原則に基づいて、AI へのアプローチは大胆かつ責任あるものでなければならないと考えています。Google Public Sector は、行政機関のパートナーと協力し、強力な責任ある AI 設計の原則を遵守しつつ、データと知的財産の所有権を保護するエンタープライズ クラスの AI サービスを確実に提供できるように努めています。
詳細については、goo.gle/SLG または Google Cloud Skills Boost のジェネレーティブ AI に関する学習パス(無料)をご覧ください。この学習パスでは、大規模言語モデルの基礎から、Google Cloud でジェネレーティブ AI ソリューションを作成してデプロイする方法まで、ジェネレーティブ AI プロダクトとテクノロジーについて解説しています。