「世界のGoogle」が成し遂げてきた“常識を覆すDX事例”3選

  • 2023.05.18
  • DX
「世界のGoogle」が成し遂げてきた“常識を覆すDX事例”3選

多くの企業が直面するDXの「3つの壁」

GAFA(Google, Apple, Facebook, Amazon)と呼ばれるグローバルIT企業を中心として、私たちの日常生活に浸透するデジタル技術、デジタルサービスは瞬く間に進化を遂げています。

そのような状況下、日本を含む世界各国の企業はデジタル技術、デジタルサービスの早期導入・早期適用が急務とされており、昨今大企業を中心にDXプロジェクトの具体例が報じられるようになってきました。

しかしながら巨視的な視点でDXの実情を見てみると、中小企業及び中堅企業の大半はまだDXプロジェクトに着手できていない、またはDXプロジェクトを開始してみたものの課題に直面し停滞する傾向にあります。まず始めにDXの過程で多くの企業が直面する3つの課題について紹介します。

データ収集と利活用

経済産業省が公表したDXの定義では、「データとテクノロジー技術の両方を活用することがDXである」と述べられています。そのため、DXを行うにあたって最初に直面するのがデータをどのように利活用するか、という課題です。

必要となるデータはその企業の置かれている状況やDX後のTo-Be(理想の姿や目指す姿)によって変わってきます。近い将来、もっと営業に力を入れたい企業であれば、クライアント情報(toBビジネスの場合、接触時の反応を含む受注確度など。toCビジネスの場合、コンバージョンレートなど)や営業活動の行動記録が重要になります。

一方、業務効率や生産効率を高める場合には製造部門・生産部門内にセンサーやビーコンといったツールを配置し、作業工程の状況や検査関連のデータを効率的に収集し、分析する必要があるはずです。

どのような情報を収集すべきなのか、それら情報をどのようにして集めるのか、そしてそれらのデータをどのように利活用するのか、をしっかりと道筋立てて進めていかないとDXプロジェクトは決して上手くいきません。

DXプロジェクトのゴールから逆算し、データの利活用の方法、データの収集の方法を徹底して検討することが大切です。

セキュリティ対策

データ収集及び利活用の方向性を明確にしたあと、次に取り組むべき問題はセキュリティ対策です。近年ではクラウドサービスが普及・浸透し始めており、DXを推進する際には、クラウドサービスの利用が不可欠です。

経済産業省が公開しているDXレポート2.1においても、「クラウド化されたサービスとして価値提供がなされ、環境変化に合わせて常にアップデートがなされる」ことをデジタル社会の1つの特徴として掲げられており、クラウドサービスとDXは密接に関係しているといえるでしょう。

このクラウドサービスを活用するにあたり、懸念すべき事案がセキュリティ対策になります。とりわけ、近年では従来のOSやソフトウェア及びミドルウェアの脆弱性を狙ったサイバー攻撃に加えて、エンドポイントを対象した攻撃も増加しています。エンドポイントはネットワークに接続されたパソコンやスマートフォンを指しています。

今後クラウドサービスの活用が進むと、企業のネットワークに接続するエンドポイント数も増加することになります。エンドポイントに対して適切な対策を取らないとエンドポイント経由で企業ネットワークに侵入され、重大なセキュリティトラブルを引き起こす可能性があります。

クラウドサービスへの移行を検討されている企業様は、取引のある開発会社と連携し、ID管理や運用管理、ウイルスなどのセキュリティ対策案を徹底して検討するようにしましょう。

市場への対応

DXを推進するにあたり、市場柔軟性を維持できるか、向上できるかどうかも重要な観点です。市場は瞬く間に変化するものです。近年、情報を入手できる手段が増え、情報の伝達速度も格段に上がっています。今後何か新しいサービスやプロダクトを出す場合、市場柔軟性を持ち合わせていないと、決して市場のマスを取ることはできないでしょう。

 

GoogleのDX成功事例3選

ここでは、GoogleがDXを推進したことによって成功した事例を3つ紹介します。

GCP(Google Cloud Platform)

GCPとはAmazonが展開しているAWSやMicrosoftが展開しているAzureと並び、世界で利用されているクラウドサービスの1つです。Google App Engineとして2008年にプレリリースされた後、現在は名称を変えてGCPとして多くの企業で活用されています。

GCPはAWSと並んでクラウドサービスを世の中に普及させたサービスです。GCPがリリースされる以前はクラウドサービスという概念がなく、多くの企業はオンプレミスという自社でサーバーを購入してシステムを構築する方法を採用していました。

オンプレミスは自社ですべてを管理できるため、自由度が高い一方、導入費用や運用コストが高くなる傾向にありました。また、システム開発には膨大な時間が掛かってしまうため、資金力のある企業しかオンプレミスによる開発ができませんでした。

しかし、GCPが登場したことで企業のシステムの在り方が大きく変化しました。クラウドサービスを活用することで、サーバを自社で設置しなければならないという当初の考え方から脱却し、導入コストや運用コストを抑えながら、自社サーバを保有するような形でシステムやサービス運用が可能になりました。GCPは多くの企業にシステムの新しい活用方法を提示した新的なサービスといえるでしょう。

Google Duplex

Google Duplexは、ユーザーがテキストや音声で予約内容を伝えると、代わりにお店に電話発信してくれる予約システムです。アメリカでは2018年春ごろにGoogleアシスタント上でサービス提供が開始されました。

Google Duplexの革新的なところはAIを活用し、スケジューリングから交渉まで一括して行ってくれることです。これによりユーザーは必要な情報を入力するだけでよくなり、多くの時間を確保することができます。まだ、日本には導入されていませんが、今後導入される可能性も高いといえるでしょう。

Google Map

Google Mapは2005年2月にサービス提供を開始した地図サービスです。いまでは、個人、企業問わず多くの人が利用しています。Google Mapが登場する前は紙の地図でしか調べる方法がありませんでした。Google Mapが登場したことによって時間が掛かっていた検索を簡略化することが可能になりました。

また、現在のGoogle Mapはそれだけではありません。行きたい場所に至るまでの経路も公共交通機関、自動車、徒歩、自転車など様々な方法で経路を調べることができるようになりました。

また、店舗情報をカテゴライズ化し、口コミや評判まで一緒に表示することで、お店探しをGoogle Map1つで完結させることも可能にしました。これによりユーザは行きたい場所を探して、経路検索するという手間を短縮させただけでなく、新しい場所に繰り出すことも容易となり、人々の活動範囲の拡大に寄与したサービスとなりました。

GoogleのDX化を取り入れて自社DXを推進するには

ここまでGoogleのDX成功事例を紹介してきました。3つのDXに共通していることは、これまで当たり前だと思っていたが、実は当たり前ではなかったというユーザの潜在的ニーズを引き出した事にあるはずです。

たとえばですが、GCPではこれまでオンプレミスが当たり前だったところからシステムの在り方を変革し、クラウドサービスという新しい概念を生み出しました。Google Duplexは、毎回電話を掛けるという地味に大変な作業をAIによって簡略化させる試みとしてプロジェクトがスタートしました。

自社のDXを推進する際にも、これまで当たり前だと思っていたサービスを当たり前と思わないことが大切です。新たな切り口から顧客に貢献できる点がないかを探すことで、新しいビジネスモデルやサービスが見えてくるはずです。

まとめ

DXにはデータの利活用やセキュリティ、市場への柔軟な対応など多くの課題があります。Googleはこれらの課題を解決し、ユーザーの潜在的ニーズを引き出すことに成功しました。自社DXを推進する際にはデータの利活用を徹底して行い、新たな視点で顧客にサービスを提供できないか検討してみるとよいでしょう。

幻冬舎オンライン より

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