クラウド事例:株式会社ビジュアルリサーチ「不動産テックの未来とは」

クラウド事例:株式会社ビジュアルリサーチ「不動産テックの未来とは」
ビジュアルリサーチは、1995 年に会社設立以来、一貫して賃貸管理業務、賃貸仲介業務、売買仲介業務に特化したシステムを開発してきた会社です。

導入実績 4,000 社以上、大手不動産管理会社の採用率 No.1 のプラットフォームを提供し、新時代の不動産ビジネスをリードするデータプラットフォーマーとして、不動産業界を牽引しています。

利用しているサービス:Cloud Run, Cloud Functions, Cloud Firestore, BigQuery, Dataflow,, Cloud SQL, AlloyDB, Cloud Memorystore, Cloud Storage

利用しているソリューション:
コンピューティング
サーバレス
オープンソース データベース

エンジニア未経験から不動産テック老舗企業の CTO になるまで

「テクノロジーの力で不動産業界の健全な成長・発展を促し、多くの人が幸せを実感できる社会を実現する」をミッションとして掲げる株式会社ビジュアルリサーチは、1995 年創業と、不動産業界で IT を活用する企業としては老舗の部類に入ります。

「(2023年)4 月にフィロソフィー(ミッション・ビジョン・バリュー)をリニューアルしたばかりなので、まだ馴染んでいないのですが。」と取締役 CTO 渡邊瞬氏は冗談交じりに語ります。

「当社に入社して今年で 11 年目になりますが、入社当時はエンジニア未経験でした。また当初は不動産に対して特に意識はしていなかったのですが、不動産業界には、紙文化や特殊業界構造など、業務効率の改善の余地が多い業界だと思います。現在ではそれらの課題を解決するプロセスを楽しんでいます。」

そんな渡邊氏ですが、特に CTO を目指していたわけでは無かったと言います。

「そもそも私が就任するまで CTO というポジションは当社に存在しなかったのですが、自ら手を上げてレガシーアーキテクチャを刷新したり、オンプレから Google Cloud へ移行したりと、様々なチャレンジを続けていく中で、気づけば CTO という役職になっておりました。

保守的な文化が浸透している業界ですが、当社は変化をすることに対して寛容なカルチャーがあります。信頼に関わるところは守りつつ、遊び心も忘れないという、変化と保守のバランスを大事にするところなどがカルチャーの土台になっていると思います。」

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クラウド群雄割拠の時代に Google Cloud を選定

ビジュアルリサーチでは 2017 年から今日に至るまで、一貫して Google Cloud をあらゆる自社サービスのシステム基盤として利用しています。

渡邊氏は Google Cloud の当時の選定理由について次のように語りました。

「当時 Google Compute Engine は唯一、VM のスペックを細かく設定でき、細かくスケールできる点と、ライブマイグレーションが非常に魅力的だった点が大きいですね。

また、ディスクに対するベンチマークを回した際の処理能力が他のクラウドと比較しても一番高かったり、コストコントロールの面と、スケールの点で、コンピュートに関しては自社の利用方法に一番フィットしそうだったため採用を決断することができました。

当時は C# を使っており、また、市場のトレンドや C# との相性を考えると、他クラウドを選択することも考えられましたが、コンピュートの性能や機能を重視し、Google Cloud を選択しました。」

現在ビジュアルリサーチでは当初利用していた Compute Engine 以外にも、 Cloud Run や最新のマネージドデータベースサービスである AlloyDB にまで利用を広げています。

Google Cloud のサービスに関しては次のように語りました。

「 Cloud Run が登場して、サーバーレスの魅力がぐっと上がったと感じました。Google App Engine だと、 C# における .NET Core のバージョンが低くて使いづらく感じていたのですが、Cloud Run ではコンテナベースで動くところなどが開発者への裾野が広がったと思います。

AlloyDB に関しては、大手のお客様の案件を進める中でデータベースのパフォーマンスが頭打ちになり困っていたところ、ハイパフォーマンス性に惹かれて利用を開始しました。現在ステージングで検証中ですが、そろそろ商用に移そうと思います。」

今後は自社の開発組織の課題と紐づけてさらなる活用を目指していくと語る渡邊氏。

「弊社には専属のインフラ担当がいないという課題もあるので、Cloud Run を始めとしたマネージドなサービスをいかに利用するかが円滑にシステムを開発・運用する上でのポイントだと考えています。

ただ、社内にはまだまだレガシーな資産が多く存在しているのも事実なので、それらの資産を Google Cloud にどうやって乗せていくかについて、これから検討を加速していきたいと考えています。」

Google Cloud と作る不動産テックと自身の未来

コロナによる市場や働き方への影響は大きく、不動産業界も例に漏れず大きな転換期を迎えていると渡邊氏は語りました。

「コロナ前は Web サイトから物件情報を調べて、直接不動産屋に行ったり、複数の物件を車で見て回る、というのが当たり前でしたが、今ではそれらは当たり前じゃなくなっています。これは物件を決めるプロセスに多様性が出てきたと理解していて、ここにどう訴求していくかが重要だと考えています。」

また、今後の注力領域について渡邊氏は次のように語りました。

「不動産業界には大小様々な課題がありますが、当社ではデータ領域の課題解決に注力しております。

例えば、当社が強みとする賃貸管理領域においては、Web サイトに掲載される物件情報の

タイムラグにより、申込不可の物件が掲載されたままになっているという問題がたびたび発生します。これは、複数のサイトに物件情報が掲載されていることで更新が非同期になっていたり、店舗側でのマニュアル作業が間に入ることにより、データ更新の頻度が追いついていないことに起因しています。

当社はデータプラットフォーマーという立場で業界全体のデータの鮮度を高める仕組みの構築に挑戦しておりますが、この仕組みは Google Cloud を活用することで実現できると考えております。」

最後に自身の将来について次のように語りました。

「いままでは社内のありとあらゆるところに顔と口をだしてきましたが、今後はビジュアルリサーチで働いてくれているメンバーが、個々人の描く理想のエンジニアになれる環境を後押ししていく存在になりたいです。

合わせて、自身のミッションである『いかに技術をつかって不動産の業界をよりよくできるか』を追い求めていきたいと思います。」

Google Cloud ブログ より

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