クラウド事例:株式会社BuySell「データに強いクラウドを選ぶということ」

クラウド事例:株式会社BuySell「データに強いクラウドを選ぶということ」
「人を超え、時を超え、たいせつなものをつなぐ架け橋となる。」というミッションを掲げ、総合リユース事業を展開する BuySell 。同社は、出張訪問買取サービスを中心として、全国で様々な品物の買取、販売を手掛けています。2021 年より CTO として活躍する今村雅幸氏に、BuySell にかける想いや、Google Cloud を活用したテクノロジー戦略についてお伺いしました。

利用しているサービス:
Cloud Run BigQuery, Cloud Logging, Cloud Storage, Firestore, Cloud Workstations, Cloud Build, Cloud Deploy

自分たちのやっていることが、どれくらい意義があるのか

大学卒業後、ヤフー株式会社に就職し、開発リードエンジニアとしてライフスタイル系のサービス開発、その後、起業を決意し、株式会社 VASILY を創業。当初は受託開発などを行いつつも、ファッションの SNS サービス IQON を開発し、ユーザー数は 200 万人規模まで拡大。当時テクノロジーやエンジニア採用といった側面で課題を感じていた 株式会社スタートトゥデイ(現 株式会社 ZOZO ) の前澤氏から声がかかり、2018年、事業譲渡とともに ZOZO テクノロジーズの CTO に就任しました。

就任後、新型コロナウイルス感染症( COVID-19 )が流行し、ビジネス環境の変化するなか、ある疑問を抱いたと言います。

「 COVID-19 が流行し、店舗を閉じざるを得ないファッションブランドも多く、業界ではかなりのダメージを受けていました。しかし、インターネット上で販売するプラットフォーマーには、COVID-19 は追い風でした。近しい業界内でプラットフォーマーは好調だが仕入先は苦しんでいる、そういう状態が生まれてきました。これは、サステナブル(持続性がある状態)なのだろうかと疑問を抱きつつも、難しい問題だと悩みました」

COVID-19 による事業環境の変化に課題を感じる最中、知人を介して BuySell の会長や社長と話をする機会があり、そこで BuySell の展望や、自宅を整理したい、生前・遺品整理に困っている、といったニーズに寄り添い、モノを循環させるビジネスモデルに共感し、使命感を感じたと語ります。

「 BuySell はリユース業界で出張訪問買取をやっていて、すごく伸びているが、さらなる事業拡大を目指すにはテック面で課題があり困っていると聞きました。話を聞くうちに、BuySell の事業はサステナブルで、社会的に意義がある、そして今後世の中が立ち向かう社会課題を BuySell は真正面から捉えて解決を目指している会社だと思いました。テクノロジーの力を活かして、ファッション業界とリユース業界のどちらをテコ入れしていくか、後者の方だと感じ、BuySell への入社を決めました。」

今村氏が悩んでいた、持続性のあるビジネスという課題に挑戦し、世の中に役立つ事業を行うことを目指す BuySell 。その挑戦の最中にいる BuySell で働くことで、自分の人生に新しい景色が生まれるのではないか。そう考えたと語ります。

テクノロジー戦略を持ち、データを扱えるようにする

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BuySell が行っているのは総合リユース事業、つまり、お客様から商品を買い取り、独自の販路で売るというビジネスモデルです。買取から販売まで、一気通貫で BuySell が行うため、総合リユースと呼んでいます。

BuySell のミッションは「人を超え、時を超え、たいせつなものをつなぐ架け橋となる。」。単純に安く買って高く売る、ではなく、大事にしてきたものを次の世代にどう渡すか。モノを循環させ、社会をどう創っていくかをミッションに掲げています。

「CTO がやるべき仕事は、会社における中長期のテクノロジー戦略を考えることである」と言う今村氏。そして、BuySell が取るべきテクノロジー戦略がなにかを検討したとき、キーとなるのはデータであると考えたと語ります。

「いままで以上に会社を成長させることを考えると、着物を中心とした買取商材の種類も増える、新しい販売チャネルも増える、M&A の実施など、BuySell リユースビジネスに関わるデータは拡大していくと経営陣とも話していた。このビジネスモデルのキーはほぼ 100% データであると考えました。BuySell がリユース業界のど真ん中を狙うなら、データをしっかりと扱える会社にしないといけないと思ったのです。」

「世の中のトレンド、例えば、機械学習、分析、AI にしろ、全てはデータです。事業に関するデータを、どれだけしっかりと管理し、活用出来る状態になっているか。それが重要だと思ったのです。そのために、一箇所にデータを集めて、しっかりと分析できる基盤が必要でした。」

データ基盤を構築し、その上に様々な買取・販売チャネルの業務を円滑に扱えるようなシステムを作る。そうすれば、今後どんなチャネルが増えたとしても、今まで以上に素早く会社を成長させられる。そのような構想により、BuySell はデータ基盤の構築、そしてリユースプラットフォーム Cosmos の構築に至ったと言います。

データに強いクラウドを選ぶということ

「 CTO に就任した当時は、BuySell は他社クラウドと Google Cloud の両方を使っていました。ただ、その状態だとデータを一元管理することが複雑になります。新しいシステムを作るときも、その都度採用判断が必要になります。そこで、全面的に Google Cloud に寄せることにしよう、と決断したのです。」

そう語る今村氏に、なぜ Google Cloud を採用したのかとお伺いすると、実は日本に展開される以前から、BigQuery に期待していたのだと教えて頂きました。

「 BigQuery は、データを入れるときに事前に様々なキーの指定をしなくて良いため、とにかく簡単にデータをどんどん貯められる。貯めたデータは、億単位になっても、すぐにクエリの結果が返ってくる。この体験はすごいと思いました。そして、痒いところに手が届くようなアップデートもどんどん実施され、これはプロダクトとして信頼できるな、と思ったのが、Google Cloud を採用するポイントでした。」

直近では、Google Cloud Tech Acceleration Program (TAP) にも参加いただいた BuySell 。アプリケーションとデータ基盤の親和性を高めて、さらなる成長と新たな技術の取り入れに向けて、加速を続けています。

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(Google オフィスでの TAP の様子)

 

自社の展望と Google Cloud への期待

BuySell は、2023 年に新たなビジョン「優れた人と新たな技術で、循環型社会をリードする。」を定めました。最後に、今村氏に「人」、エンジニア組織への思いを伺いました。

「作りたい組織は、事業成長に貢献できるエンジニア集団です。単純にエンジニアが作りたいものを作るのではなく、会社の KPI にどう貢献したかをしっかりと説明できる、それに対して誇りを持って行動できる、そんな組織を作りたいと考えています。」

BuySell では、エンジニアも現場の業務を理解するために、店舗での実務研修や、実際の査定業務を行うことにより、事業部とエンジニア組織の壁を取り払い、事業部から信頼を得られる組織作りを行っていると言います。

今はまだ、目標に対する達成度は 4 割程度だと語る今村氏ですが、リユース業界のインフラになっていくという大きなマイルストーンに向かって、BuySell だけでなく、様々な会社、ひいては社会に貢献できる会社を目指していくと語ってくれました。

終わりに、Google Cloud への期待を次のように話していただきました。

「昨今、生成系 AI が話題になっていますが、この利活用が企業の成長を左右するようなインパクトを与えると思っています。BuySell では Google Cloud にデータがあるため、そこから利用しやすくなると嬉しいなと。Google Cloud では、既に様々なサービスが Vertex AI で提供されていますが、もっとすごいものを出してくれるのでは、と期待しています。」

Google Cloud ブログ より

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