ChatGPTを初めとする生成AIツール。使いこなしにはコツがいりますが、うまく使えば調べものや文章作成を効率化できます。生産性をアップして、暮らしを豊かにすることも不可能ではありません。この連載では、ChatGPTを実践的に使いこなすための勘所を紹介します。 【画像】ChatGPTにメールの下書きを書いてもらうときのコツ 今回は、ChatGPTでメールやメッセージの下書きを作成する方法を紹介します。忙しい毎日の中で追われがちになってしまうメールやチャット。ChatGPTをうまく使うと、あなたの言葉を的確に、そしてスムーズに伝わる表現に変えることができます。 ChatGPTは、簡単な指示で文章を作成できる対話型AIです。敬語を含む、日本語表現に長けているため、仕事のメールや友人へのメッセージなど、さまざまなシーンでふさわしい文章を作ることができます。 使い方は「メールの下書きを作成して」と入力(プロンプト)欄に書き、続けてメールで伝えたいことを書くだけです。ここでのコツは、メールを送る相手との関係性を明示することです。 例えば「初めてアポを取る取引先」と「顔なじみの取引先」では、同じメールでも敬語の使い方が変わるかもしれません。そこでChatGPTに相手との(おおまかな)関係性を伝えておくと、適切な表現のメールが作成できます。
例:ビジネスメールの下書きを依頼する
入力文:
メールの下書きを書いて。送付先は見知った取引先なので、比較的丁寧ですが、仰々しくなりすぎないように。
お世話になっております。
先日のミーティングではありがとうございました。
8月15日のイベントの件、ご案内ありがとうございます。
ぜひ参加したいです。 よろしくお願いいたします。
ChatGPTの応答:
件名: 8月15日イベントへの参加確定とお礼
[取引先の名前]様、
いつも大変お世話になっております。[あなたの名前]です。
先日は貴重なお時間を割いてミーティングに参加いただき、誠にありがとうございました。有意義な議論と進展を遂げることができました。
また、8月15日に開催されるイベントの詳細をご案内いただき、大変感謝しております。この機会に、我々も参加させていただくことになりました。
当日は楽しみにしております。事前に準備すべきこと、または知っておくべき情報がございましたら、お気軽にご連絡いただけますと幸いです。
今後とも宜しくお願い申し上げます。
敬具,
[あなたの名前]
[あなたの役職名]
[あなたの連絡先]
ChatGPTはメールだけでなく、SlackやFacebook MessengerやLINEなどのメッセージの下書きも書けます。メッセージアプリ向けの文章では、自分の好みの文章のトーンを伝えるといいでしょう。例えば、「絵文字は使わない」や「ポジティブな表現で」といったように、大まかな指示を出せば、ChatGPTはその指示からニュアンスをくみ取って文章に反映します。何度か修正を指示していくことで、より自分らしい文章が作りやすくなります。
例:久しぶりに会う友人を飲みに誘うLINEメッセージを書く
入力文(1):
コロナ禍で疎遠になっていた友だちを飲み会に誘うためのLINEメッセージを書いて。
ある程度フレンドリーで、でも緊密ではない程度の距離感で。
日付は6月15日を考えているけれど、友だちの都合を聞いて調整したい。
ChatGPTの応答(1):
Hey [友だちの名前]、久しぶり!
この間ずっと状況が状況だったから、なかなか会う機会がなかったよね。元気にしてる?
ちょっと考えてたんだけど、もし良かったら6月15日に飲みに行かない? もちろん、都合が合わなければ日程は調整できるからね!
なんか最近、昔のようにみんなでワイワイやるのが恋しくてね。久々に集まって、お互いの近況を語り合うのもいいかなと思ったんだ。
もちろん、コロナ対策はしっかりと。安全に楽しむのが一番だからね。
どうかな? 返事待ってるよ!
入力文(2):
そのメッセージはポジティブさが強すぎて怪しく思えるので、もう少し抑制的なトーンにしてもらえますか。
「コロナ禍でしばらく合っていなかったけど」というのを書き出しに入れて。
ChatGPTの応答(2):
[友だちの名前]、お久しぶり。
コロナ禍でしばらく会えてないけど、どうしてる?
最近少しでも状況が落ち着き始めたから、もし良ければ一緒に飲みに行かないかなと思って。考えている日は6月15日だけど、都合が合わなければ別の日にすることも全然大丈夫。
ただ、少し気分転換と近況報告を兼ねて、久しぶりにゆっくりと話をするのもいいかなと思ったんだ。
当然、場所選びや行動にはしっかりとコロナ対策を考えるつもりだよ。
もし良かったら考えてみて。返事待ってるね。
同様に、ブログやFacebookの投稿をTwitter向けに要約するといった使い方も可能です。Facebookで旅行の感想を800字程度書いた後に、Twitterにそのまま全部を載せるのは少し長すぎるかもしれません。「2~3ツイートで要約して。トーンはTwitterに合わせて素朴な文体にして」と指示すると、ちょうどよい長さの要約が得られるでしょう。 さらに、ChatGPTは複数の言語をサポートしています。つまり、日本語の指示で、英文のメールの下書きを書くことも可能です。英語のビジネスメール作成に慣れていない人も、ChatGPTの力を借りれば、作成のハードルがぐっと下がることでしょう。
仕上がりは要確認、個人情報の取り扱いも要注意
なお、この使い方でChatGPTを使う際には心掛けたい点が2つあります。1つ目は、ChatGPTが微妙なニュアンスを誤解することがあるという点です。従って、作成した文章をそのまま送らず、必ず表現や事実関係が間違っていないことを確認してから送信しましょう。 2つ目に、個人情報や企業の機密情報については特に注意が必要です。OpenAIは、ChatGPT(Web版・アプリ版)について、入力した内容や応答内容を機械学習モデル改良のために利用することがあると明言しています。従って、相手の名前などの固有名詞、商業的な秘密、またはプライベートな内容は、絶対に入力しないようにしましょう。プライバシーの保護という観点からも、これは大切な注意点です。ChatGPTで作成する文章は、仮に公開されても問題のない範囲の内容に限定し、具体的な名前などを入力するのは控えるようにしましょう。 情報の利用について、ChatGPTには2つの設定方法が用意されています。手軽な方法としては、チャット履歴をオフにする設定があります。ChatGPTの設定(ハンバーガーボタン「…」)から、「Settings」→「Data controls」の順に進み、「Chat History & Training」をオフにすると、会話履歴を保存しない設定にできます。この設定では、ChatGPTの履歴が30日経過後に消去される点に注意が必要です。 また、OpenAIのWebフォームからの機械学習データへの利用をオプトアウトする申請も可能です。OpenAI社が用意したオプトアウト申請用フォームに必要な情報を記入して、登録します。登録の際には、ChatGPTのAPIを利用する際に発行される「Organization ID」の入力が必要となります。