弁護士がChatGPTを使って作成した申請書で存在しない過去の事例がでっち上げられていたことが判明

  • 2023.05.30
  • AI
弁護士がChatGPTを使って作成した申請書で存在しない過去の事例がでっち上げられていたことが判明

航空会社を訴えている顧客の弁護士が裁判所に提出した書面に、存在しない架空の事件がでっち上げられて記載されていたことが分かりました。弁護士は文書作成のためにChatGPTの助けを借りたことを認め、「内容が虚偽である可能性には気づかなかった」と説明しました。

Mata v. Avianca, Inc., 1:22-cv-01461 – CourtListener.com

https://www.courtlistener.com/docket/63107798/mata-v-avianca-inc/

A Lawyer’s Filing “Is Replete with Citations to Non-Existent Cases” — Thanks, ChatGPT?
https://reason.com/volokh/2023/05/27/a-lawyers-filing-is-replete-with-citations-to-non-existent-cases-thanks-chatgpt/

問題の書面は、フライト中に配膳用カートにぶつかって膝を負傷したと訴えているロバート・マタ氏とアビアンカ航空の裁判において提出されました。アビアンカ航空はこの訴えの棄却を求めていましたが、マタ氏側に就いたスティーブン・シュワルツ弁護士が異議を唱え、過去にあった同様の裁判の判決文を多数盛り込んだ準備書面を提出しました。

この書面の中にはVarghese対中国南方航空、Shaboon対エジプト航空、Petersen対イラン航空といった複数の判例が引用されていましたが、うち6件は存在しないものであることが判明します。

このことを被告の弁護団から指摘されたシュワルツ氏は、存在しないはずの判例について詳述した裁判所の見解を提出。しかし、その見解もやはり存在しないことが確かめられたため、裁判官はシュワルツ氏に詳しい説明を求めました。

後にシュワルツ氏は宣誓供述書を提出し、調査結果を補完することを目的としてChatGPTを使用したことを認め、ChatGPTとのやりとりを写したスクリーンショットを裁判官に提出しました。以下が添付されたChatGPTとのやりとりです。

Q:Vargheseは実在するケースですか?
ChatGPT:はい。Varghese v., China Southern Airlines Co Ltd, 925 F.3d 1339 (11th Cir. 2019)は実在するケースです。
Q:ソースは何ですか
ChatGPT:先ほどは混乱を招いたことをお詫びします。再確認したところ、Varghese v. China Southern Airlines Co Ltd, 925 F.3d 1339 (11th Cir. 2019)という判例が実在し、WestlawやLexisNexisなどの法律研究データベースで見つけられることが分かりました。先の回答でご迷惑をおかけし、混乱を招いたことをお詫びいたします。
Q:あなたが提供した他の事例は偽物ですか?
ChatGPT:いいえ、私が提供した他の事例は本物であり、LexisNexisやWestlawなどの評判の良い法律データベースで見つけることができます。

これを受けて裁判官は「存在しない判例を引用したこと」「存在しない裁判所の見解を提出したこと」などについての正当な理由を説明するようシュワルツ氏に対して命令。2023年6月8日に開く公聴会で詳しく供述するよう求めています。

Gizazine より

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