IT人材も資金も乏しい中小企業のデジタル化への道

  • 2022.11.09
  • DX
IT人材も資金も乏しい中小企業のデジタル化への道

IT人材も資金も乏しい中小企業のデジタル化への道

中小企業のデジタル化はなかなか進まない。経営者は「人材がいない」「予算がない」などと、人も金もないことを理由に挙げる。その一方で、ITベンダーらは「デジタル化のビジョンを描け」「デジタル人材を育成、獲得しろ」などと中小企業の経営者に発破をかける。「大企業にさえできないことを、中小企業にできるのか」と、中小企業向けグループウェアと営業支援システム(SFA)などを手掛けるNIコンサルティング 代表取締役の長尾一洋氏は理解不足を指摘する。

長尾氏によると、中小企業の課題は「当社にはできない」と、経営者の食わず嫌いにあるという。別の言い方をすれば、「ITはよく分からない」といってITベンダーに丸投げすることである。ITベンダーはそれを収益源にするので、言われた通りのITシステムを時間をかけて作り上げていく。そうして出来上がったものは、自分が思っていたイメージと異なるため、当然のことながら不満を抱く。費用も思っていた以上にかかるので投資効果を疑問視し、デジタル化に踏み出せなくなる。

そんな中小企業に参考になる事例も少ない。ペーパーレス化による業務改善や効率化の実例はあるが、そこはゴールではない。データの集約、業務プロセスの自動化などを推進するには、役員を含めた全従業員の参加が求められる。大企業にも例の少ないビジネスモデルを創出するデジタル変革(DX)はさらにその先の話になる。

それでも、長尾氏は「今こそデジタル化に取り組むべき」と、中小企業の経営者に提案する。まず「インボイス制度」(2023年10月施行)と「改正電子帳簿保存法」(2022年1月施行)をきっかけに、SFAやグループウェアなどのITツールを導入し、しっかりと使いこなす。こうしたツールを導入したら、設定をITベンダー任せにしないことだ。自ら取り組むには、経営者の決意と従業員の当事者意識が欠かせない。当事者意識の高まりは、「面倒だ」というデジタル抵抗勢力を味方にするだろう。そのため、経営者は従業員と現在の状況と将来の方向性を共有する。業績の開示はもちろん、従業員による持株会を採用するのもいいだろう。

そうした環境を整備するとともに、プログラミングをせずにシステム開発をしたり、機能を追加/修正したりできるノーコードツールも導入する。長尾氏は「ノーコードならIT人材のいない中小企業にも使いこなせる」といい、中小企業のデジタル推進のカギを握ると信じる。確かに、安価に利用できるノーコードツールは数多くあり、ウェブページの構築や日報アプリの作成などに活用できる。NIコンサルティングも月額300円で使えるツールを8年前に発売し、約1000社の中小企業が利用しているという。

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