今年に入ってからというもの、ChatGPTの話題に事欠かない。大規模言語モデル(LLM)に基づいているこの会話型AIは現在、試験を受けたり、コンテンツを制作したり、ウェブで調べ物をしたり、プログラミングをしたりしている。加えて、面白いかどうかはともかく、ChatGPTはオリジナルの物語を書くこともできる。
文章を書くことを生業にしている人にとって、ChatGPTは仕事のあり方を完全に変えてしまいかねないツールだ。しかし現段階では、ジャーナリストや作家、コピーライターといった職業が生成AIに取って代わることはないだろう。
とはいえ、使い方を間違えなければ、ChatGPTが信頼できるアシスタントになってくれることは確かだ。言葉を扱う仕事をしている人たちが、どのようにChatGPTを使って文章の質を向上させられるか、いくつかの用法を紹介しよう。AIが仕事を完全に奪ってしまうまでの間は役に立つはずだ。
1. ぴったりの言い回しを見つける
類語辞典を使っているライターを卑下する人はいないように、ChatGPTを使って文章に合った単語やフレーズを探すことを卑下してはいけない。ChatGPTを使えば特定の単語の異なる言い回しを生成できる。かしこまった言い方にしたいのか、くだけた表現にしたいのか、長いほうがいいのか短いほうがいいのかなど、より具体的な注文をすることもできる。
ChatGPTのよいところは、存在するかすらわからない単語を検索できるところだ。たとえば「特定の理由がなく、押し寄せては消えていく憂鬱な気分のことを表す単語」を尋ねてみると、「アンニュイ」を提案してくれた(少なくとも『WIRED』のテストでは)。
ほかにも、キャラクターのセリフを考えたい場合には、地域や世代などそのキャラクターの特徴を入力し、その特徴に合う言い回しを考えてもらうこともできる。ChatGPTの性質上、何回でも提案を受けることができる。
2. アイデア出しに使う
文章のクオリティはともかくとして、ChatGPTがアイデアの生成に長けていることは否定しがたい事実だ。想像力が尽きてしまったと感じたときにはChatGPTに頼り、物語の展開やキャラクターの造形、シーンの設定などについてインスピレーションを得るといいだろう。
ChatGPTは全体的なことから細かい部分までアイデアを出してくれる。小説や記事を書き始める前であれば、物語の設定や時代背景、テーマなどについてアイデアを得ることができる。短編小説の作家であれば、ChatGPTのアイデアをもとに5つの物語を書くチャレンジをしてみてもいいだろう。
あるいは、とても緻密な部分に対してインスピレーションが必要な場合もあるだろう。物語の次の場面で何が起こるか、もしくはどのようにしてエッセイをまとめるべきか、といった風に。文章を書いている途中にどうしても筆が進まないときには、ChatGPTが行き詰まりを解消してくれるかもしれない。
3. 調べ物をする
文章を書く作業は単語を並べるだけでは終わらない。正しい文章を書くためには、事実やデータを確認したり、トレンドや歴史を調べたりする必要がある(想像の世界のなかで起こるファンタジー小説を書いているなら別だ)。
ChatGPTは特定の調べ物をするにおいて、従来の検索エンジンよりも優れている。たとえば、特定の年代に特定の地域の人々が何を食べていたか知りたい場合や、具体的な犯罪行為を遂行するための手段について確認したい場合などだ。Googleでこれらの質問を検索するとSEO対策が施されたスパムサイトばかりが出てきて、それぞれが異なった答えを提示していることが多い。しかしChatGPTなら筋の通った答えを出してくれるだろう。