クラウド図鑑 Vol.27

HP Helionは、HPのクラウドのサービスや製品の総称である。パブリッククラウドとしてはAWSライクなIaaSである「HP Helion Public Cloud」およびCloud FoundryをベースとしたPaaSである「HP Helion Development Platform」を提供し、一方で、プライベートクラウドを自社で構築するために汎用サーバー「HP Proliant」または統合型アプライアンス「HP Converged System」のための「HP Helion CloudSystemソフトウェア」を提供するなど、Helionのブランドでハイブリッドクラウドを実現する広範なサービスや製品を提供する。(2015年10月22日追記)しかしながら、パブリッククラウドからは撤退し、2016年1月末サービスを終了することを発表した。その中心にあるのはHPがサポートする商用版のOpenStackディストリビューション「HP Helion OpenStack」である。本稿では、プライベートクラウドをサービスとして提供する「HP Helion Managed Cloud」を解説する。これはホスティング型プライベートクラウド(Hosted Private Cloud)のサービスであり、AWSのようなパブリッククラウドと異なり、ターゲットのワークロードがSAPやOracleのようなエンタープライズアプリケーションである。VMwareの「vCloud Air」、CenturyLinkの「Private Cloud」、IBMが買収した「Blue Box」、EMCが買収した「Virtustream」などが、このカテゴリーの主なプレイヤーであり、エンタープライズアプリケーションのクラウド化のために、いかにリソースを分離してSLAやセキュリティ、性能を保証できるか、あるいは、既存システムの移行性や互換性などがポイントとなる。

HP Helion Public Cloudの設定画面  (注 Managed Cloudと異なる可能性がある)
Screenshot 2015-10-13 at 01.47.53 - Display 1
(クリックで拡大)

http://www8.hp.com/jp/ja/cloud/helion-portfolio.html
2015年10月14日 株式会社クラウディット 中井雅也

機能

HP Helion Managed Cloudは、自社またはHPのデータセンターからシングルテナントの占有リソースを提供する「HP Helion Managed Private Cloud」、または、マルチテナントのクラウドを仮想的に占有する「HP Helion Managed Virtual Private Cloud」の2タイプがある。ターゲットとしているワークロードはSAP、Oracle、Microsoft Dynamics、Exchange、Sharepoint、ファイルサーバーのようなエンタープライズアプリケーションである。自社またはHPのデータセンターを使用する占有型のManaged Private Cloudは、最大8コアx2CPU/384GBメモリーの物理サーバーと最大8vCPU/32GBメモリーの仮想サーバーとSANストレージを提供し、OSはWindows、およびRed HatとSUSEのLinuxをサポートする。ネットワークは最大1024のVLANとファイアウォールを提供するがロードバランサーのオプションはない。OSのアップデートやセキュリティ対策、バックアップ、監視などの運用タスクはHPによって行われる。HPのデータセンターから提供するマルチテナントのManaged Virtual Private Cloudは、最大48コアx2CPU/512GBメモリーの物理サーバーと最大16vCPU/512GBメモリーの仮想サーバーとManagedストレージを提供し、OSはWindows、およびRed HatとSUSEのLinux、HP-UXをサポートする。SAPのアプリケーションとHANA、OracleデータベースとSQL Server、Sybase, MaxDBをサービスとして提供可能。ネットワークはVLANとファイアウォールを提供するがロードバランサーのオプションはない。OSのアップデートやセキュリティ対策、バックアップ、監視などの運用タスクはHPによって行われる

使いやすさ

セルフサービス用のポータルを提供する。

マニュアルや書籍など

ドキュメントは少なく、ほとんどが英語である。

拡張性

占有型のManaged Private Cloudは最大8コアx2CPU/384GBメモリーの物理サーバーと最大8vCPU/32GBメモリーの仮想サーバーを、マルチテナントのManaged Virtual Private Cloudは、最大48コアx2CPU/512GBメモリーの物理サーバーと最大16vCPU/512GBメモリーを提供する。エンタープライズアプリケーションをターゲットにしているため、ロードバランサーのオプションがなく、パブリッククラウドで提供されるような自動スケールの機能はない。

可用性

ファイルシステム、データベースのバックアップサービスが提供され、オフサイトにデータの長期保存が可能。テープまたはレプリケーションによるディザスタリカバリーが可能。「HP Helion Continuity」として、データセンター継続性サービス (マネージド耐障害性サービス、データセンターリカバリサービス)、データ保護サービス、ワークプレイス継続性サービスなどを提供している。Managed Virtual Private Cloudでは、WindowsおよびLinuxのフェールオーバークラスターが可能。

SLA

Managed Private Cloudでは99.95%、Managed Virtual Private Cloudでは最大99.999%のSLA

自動化機能

マネージドサービスとして提供されており、ハードウェアやOSの管理と運用はHPによって行われる。オプションでデータベースやSAPアプリケーションなどもマネージドサービスとして提供している。

セキュリティ

物理サーバーによってエンタープライズアプリケーションのために隔離した環境を提供する。OSレベルのセキュリティ対策、専用のコンポーネントとVLANなどでセキュリティを強化している。

データセンターの場所

日本国内を含む世界各国のHPのデータセンターからサービスを提供している。データセンターの数や場所などは公表されていない。

実績・シェアなど

実績やシェアなどは公表されていないが、海外ではオンプレミス環境をManaged Cloudにアウトソースした事例がある

エコシステム

ターゲットとしているSAPやOracle、マイクロソフトと連携している。

価格および支払い方法

従量課金だが、料金は公表されていない。