クラウド図鑑 Vol.22

概要

Azure App Service は、Microsoft Azureのクラウド上で提供されるPaaSのサービスである。オートスケールと負荷分散が組み込まれた伸縮可能なWebアプリケーションのための「Web Apps」、iOS、Androidなどのモバイルアプリのための「Mobile Apps」、Web APIを通じて利用されるAPIアプリのための「API Apps」、さまざまなエンタープライズアプリケーションやSaaSなどを横断するビジネスプロセス統合とワークフローのための「Logic Apps」の4タイプのアプリケーション環境を提供している。Microsoftの開発環境「Visual Studio」と統合されており、オンプレミスと同様のビジュアルな環境でクラウドアプリケーションを開発できる。また、かつてのAzureとは違い、Windows以外のOS(Linux)、言語、ミドルウェアにも積極的に対応しているため、.NETのようなMicrosoft系の開発者だけでなく、オープンソース系の開発者も違和感なく利用できる。OSやミドルウェアの環境はMicrosoftによって運用管理され、基本的に開発者が運用管理を意識する必要はない。

Azure Appsの設定画面
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URL
https://azure.microsoft.com/ja-jp/services/app-service/

2015年9月11日 株式会社クラウディット 中井雅也

機能

Azure App Serviceの「Web Apps」は、かつてAzure Websitesと呼んでいたWebアプリケーション環境。.NET、NodeJS、PHP、Python、Javaで開発したアプリケーションに対してグローバルなデータセンター インフラによる可用性や自動スケール機能を提供する。Visual StudioによるMicrosoftらしいIDEによる開発ができる上に、BitBucket、CodePlex、Dropbox、Git、GitHub、Mercurial、TFS など、ソース コード管理やリポジトリ ツールから Web Apps への継続的なデプロイをサポートしている。「Mobile Apps」は、かつてMobile Servicesと呼んでいたモバイルアプリ環境で、 iOS、Android、Windows または Mac 用のネイティブ アプリを開発・展開できる。ユーザーの認証、プッシュ通知の送信、C# または Node.js でのカスタム バックエンド ロジックの追加も可能。 「API Apps」は、クラウドとオンプレミスでの RESTful API の開発、ホスト、および使用を容易にする機能を提供し、エンタープライズ レベルのセキュリティ、シンプルなアクセス制御、ハイブリッド接続、SDK の自動生成、および Logic Apps とのシームレスな統合が可能。「Logic Apps」は、SAP、Oracle、WebSphere MQ、Salesfoceなどのアプリケーションだけでなく、Office 365、Twitter、Dropboxなどのクラウドサービスをまたがるビジネスプロセス統合やワークフローを実現する。バックエンドにBizTalkを使うことによって、より高度なオーケストレーションも可能になる。「Web Apps」、「Mobile Apps」、「API Apps」、「Logic Apps」の4つのアプリケーションモデルを組み合わせることで、オンプレミスのレガシーシステムとパブリッククラウドの連携させ、ハイブリッドのクラウド環境を活用したアプリケーションを提供できる。Visual Studio Online や GitHub との継続的インテグレーション、ステージング環境と運用環境のサポート、修正プログラム適用の自動化やマネージドサービスにより、開発者はインフラやミドルェアの運用管理を意識せずに、俊敏なアプリケーション提供に専念しやすくなる。

使いやすさ

日本語のコンソールからアプリケーションの作成・設定などを行うことができる。「ギャラリー」からマウスクリックで、PHPとMySQLの環境やWordpressなどCMS環境を構築できる。Visual StudioやGithubと統合されており、開発者は使い慣れた環境からアプリケーションを開発できる。ドキュメントも多く用意されているが日本語化されていないものもある。

マニュアルや書籍など

Microsoftによってマニュアルやチュートリアルが用意されている。ただし日本語になっていないものもある。

拡張性

Azure App Serviceは自動スケール機能を提供しており、最小数と最大数の設定でインスタンス数が自動的に調整される。CPU、メモリ、ディスク キュー、HTTP キュー、データ フローなどの数値で、例えば「過去 10 分間の CPU が 80% を超える場合は、インスタンスを 1 増やす」といったルールを設定できる。アプリケーションから接続するデータベースがAzureのマネージドデータベース「SQL Database」であれば、必要な処理能力に応じて、手動でオンラインのスケールアップ、あるいは、スケールダウンが可能である

可用性

Azure App Serviceは手動および自動のバックアップが可能である。画面からマウス操作で、バックアップの設定や復元を行うことができる。エンドトゥエンドのアプリケーションの可用性を高めるなら、地理的なレプリケーションとフェールオーバーが可能なSQL Databaseと、同じく地理的なレプリケーションが可能なAzureのストレージサービスを組み合わせればよい。

SLA

月間稼働率で 99.95%。これを下回ると料金が割り引かれる。

自動化機能

インフラの運用タスクはApp Serviceのマネージドサービスに組み込まれており、OSやミドルウェアのメンテナンスはMicrosoftによって行われる。App Serviceの自動バックアップと、SQL DatabaseおよびAzureのストレージサービスを組み合わせれば、運用タスクを限りなくゼロに近づけられる。

セキュリティ

基本的にAzureのインフラストラクチャのセキュリティ機能をそのまま踏襲する。Azure Actirve Directoryによって認証機能の実装を支援するとともに、複数アプリケーションのシングルサインオンも可能。

データセンターの場所

Azure は、北米、南米、ヨーロッパ、日本と中国を含むアジアなど、グローバルの19  22リージョンにわたるデータセンターで稼働しており、場所を指定することができる。日本でも東日本と西日本にデータセンターがある。

実績・シェアなど

米調査会社のSynergy Research Groupの調査によれば2015年第一四半期のシェアはAWSに次いで第2位だった。フォーチュン 500 社のうち 57% を超える企業が Azure を使用しているとのこと。
米Synergy Research Groupによる2016年第3四半期におけるワールドワイドのクラウドのシェアの調査結果では、IaaSではAWSが首位でシェアは45%で、2位はMicrosoft、3位Google、4位IBM、また、PaaSにおいてもAWSはシェアトップで、2位はSalesforce.com、3位Microsoft、4位IBMとなっている。
Azure App Serviceの事例としてはHeinekenなどを確認できる。

エコシステム

Windowsの開発パートナー、販売パートナー、SIパートナーなどによるエコシステムが充実している。また、Microsoft の.Netとオープンソース系の両方の広範なエコシステムに対応している。

価格および支払い方法

使用時間による従量課金。日本円での支払いも可能で、クレジットカード以外にも請求書払いも可能。最大30日間200ドル相当の無料枠が用意されている。App Serviceの参考価格としては、CPU共有/メモリー1GB/ストレージ1GBのFreeが0円、CPU 1Core/メモリー1.75GB/ストレージ50GB〜で自動スケールとバックアップサービスがつくStandardが12.04円/時間 (~ 8,976円/月)から。