クラウド図鑑 Vol.21

概要

「vCloud Air」は、米VMwareが提供するパブリッククラウドのサービスである。他のパブリッククラウドとコンセプトが異なるのは、VMwareによるオンプレミスの仮想化基盤(vSphere)との組み合わせによるハイブリッドクラウドを前提としていることである。仮想化基盤、および、プライベートクラウドにおいて80%以上の高いシェアを持つvSphereの持つ高可用性や、幅広いソフトウェアの互換性はそのまま受け継いでおり、vSphere上の既存の仮想マシンをオンプレミスからパブリック クラウドに移行することができる。この特性により、既存のvSphereによるオンプレミス環境のオンデマンドでの拡張や、BCP対策のためのディザスタリカバリーのサイトとしてvCloud Airを利用できる。vCloud Air単独でクラウド基盤として利用することもできるが、ハイブリッドクラウドでオンプレミスのvSphereとの互換性を活用したほうが利点が多いと考えられる。2015年8月31日には、年次イベントの「VMworld 2015 US」で、稼働中の仮想マシンをオンプレミスとパブリッククラウドとの間で移動する「Cross-Cloud vMotion」を発表した。また、本稿では取り上げないがVMwareではデスクトップ仮想化もパブリッククラウドのサービスとして提供している
(2016年4月24日追記)
なお、現在、日本ロケーションから提供しているvCloud Airのサービスは2016年3月31日をもって終了すると発表した(2016年4月22日)。日本国内のvCloud Air の利用者は、ソフトバンクと国内134の VCloud Air Network パートナーに移行することが推奨されている。詳細についてはVMwareによるFAQを参照いただきたい。

vCloud Air ポータルの設定画面
Screenshot 2015-09-03 at 08.30.56
(クリックで拡大)

URL   http://vcloud.vmware.com/jp/explore-vcloud-air/what-is-vcloud-air

2015年9月3日 株式会社クラウディット 中井雅也
(2016年4月24日追記)

機能

vCloud Airは「仮想サーバー」「仮想ストレージ」「仮想ネットワーク」など仮想的なITリソースの提供に主眼を置いたIaaSのサービスである。現時点でVMware社のグループ企業であるPivotal社の「Cloud Foundry」のPaaS(Platform as a Service)の機能は統合されていない。リソースを専有し、物理的に分離されたシングル テナント IaaSの「vCloud Air Dedicated Cloud (専有型クラウドサービス)」、 リソースは共有で、マルチテナントのIaaSを仮想的に専有する「vCloud Air Virtual Private Cloud (共有型クラウドサービス)」、および、オンプレミスからのレプリケーションにより災害時にクラウドへフェールオーバーする「VMware vCloud Air Disaster Recovery (災害復旧サービス)」の3種類のサービスは、一般的なIaaSとは異なり、CPU、メモリー、ストレージ、ネットワークなどの「リソースプール」を任意に設定・分割して利用する。また、vCloudの専有型クラウドと共有型クラウドのデータバックアップとリカバリのためのオプション「vCloud Air Data Protection」も提供する。一方で、一般的なIaaSに近い仮想サーバー中心のセルフ サービス型従量課金制パブリック クラウドが「 Virtual Private Cloud OnDemand」である。ストレージ機能としては、標準ディスクおよびSSDによるブロックストレージと、Googleとの提携によるオブジェクトストレージ「VMware vCloud Air Object Storage」を提供する(EMCのクラウド サービスとして提供されるEMC ViPRも提供予定)。Microsoft SQL ServerをベースとするデータベースのマネージドサービスとしてVMware vCloud Air SQLを提供する。ネットワーク仮想化技術VMware NSXをベースとする「VMware vCloud Air Advanced Networking Services」によって、マイクロ セグメンテーションなどの複雑なネットワークを構成できる。

使いやすさ

日本語化されたコンソール(vCloud Air ポータル)から設定・構成を行うことができる。またvSphere Client プラグインでによって、vCenter配下の社内のリソースと vCloud Air 上のリソースを表示および管理できるようになり、既存のvShereの知識やノウハウを活用しやすい。

マニュアルや書籍など

VMwareによってチュートリアルやビデオなどが提供されている。しかしながら現時点では日本語化が途中のものが多いようである。書籍は海外でいくつか出版されているが現時点では日本語のものはない。

拡張性

vCloud AirのDedicated CloudとVirtual Private Cloudでは、CPU、メモリー、ストレージ、ネットワークなどの「リソースプール」から、例えば、10 vCPU、20GBのメモリーといったリソースをインスタンスに割り当てて拡張が可能で、不足した場合はリソースを追加できる。ロードバランサーが標準で提供されるためスケールアウトによる処理能力拡張も可能。Virtual Private Cloud On Demandのインスタンスは最大16 vCPU、240GB メモリー、6TBのストレージまで拡張できる。

可用性

HA機能とライブマイグレーション(VMotion)の機能が標準で組み込まれており、障害時にインスタンスのフェールオーバーが行われ、メンテナンス時間も論理的にゼロに近い高い可用性を提供している。しかしながら、現時点で他のクラウドサービスに見られる複数データセンターを利用した地理的な冗長性はさほど考慮されてないようである。

SLA

基本的なSLAは99.95%。
オブジェクトストレージに関しては標準99.9%、DRAおよびNearlineは99.0%。

自動化機能

vRealize Automation (旧称 vCAC: vCloud Automation Center) を使用することで、インフラストラクチャとアプリケーションの提供と管理を自動化可能。

セキュリティ

ISMSの世界的な認定基準 ISO / IEC 27001 認定を取得している。医療保険の携行性と責任に関する法律 (HIPAA)、および、経済的および臨床的健全性のための医療情報技術に関する法律 (HITECH)に準拠。SOC 1 (SSAE16 / ISAE 3402)、SOC 2、SOC 3 にも対応している。Cloud Security Alliance (CSA) の Consensus Assessments Initiative Questionnaire (CAIQ) により、IaaS、PaaS、および SaaS にどのようなセキュリティ コントロールがあるかをドキュメント化している

データセンターの場所

西日本、および、US7拠点、EU2拠点、オーストラリアのデータセンターで運用されている。
(2016年4月24日追記)
なお、現在、日本ロケーションから提供しているvCloud Airのサービスは2016年3月31日をもって終了すると発表した(2016年4月22日)。日本国内のvCloud Air の利用者は、ソフトバンクと国内134の VCloud Air Network パートナーに移行することが推奨されている。詳細についてはVMwareによるFAQを参照いただきたい。

実績・シェアなど

vCloud Airとしてのシェアなどは公開されていない。しかしながら、VMwareは企業のオンプレミスのプライベートクラウドの基盤として80%以上の圧倒的なシェアを持つ。

エコシステム

VMwareの最大の強みともいえる5000以上のアプリケーションと90以上のオペレーティングシステムの対応により、ソフトウェアのエコシステムが充実している。また、VMware製品を利用しているクラウドプロバイダーとのパートナープログラムvCloud Air Networkを提供しており、VMwareがvCloud Airで提供しているサービスのノウハウをパートナーのクラウドに展開していくという。

価格および支払い方法

Virtual Private Cloud は月額課金で最小構成のリソースプールのCPU10GHz/メモリー20GB/2TBストレージ/10Mbpsネットワークとサポートで月額110,385円。VMwareからの直販が基本となる。オンデマンド型のVirtual Private Cloud On Demand は分単位の課金が可能で、最小構成の参考価格は1ヶ月3,782円程度。クレジットカードでの支払いが可能。