クラウド図鑑 Vol.94
Domo (ドーモ) は2010年に創業し、BI/データ視覚化のクラウドサービス「Business Cloud」を提供する米国の企業だ。創業者のJosh Jamesは、人気の高いWebサイト分析ツールを提供していた「Omniture」の共同創業者兼CEOで、親日家でもあり社名の「Domo」は日本語の「どうも」から来ているという。Domo の Business Cloud はBI/ダッシュボードツールとして、「Tableau」や「QlikView」などとよく比較されるが、これらのツールは社内のデスクトップやサーバーで動作させるのに対して、Domoはクラウド(SaaS)での提供が基本である。さらにBIツール的な「可視化」だけでなく、ETLツール的なデータソースからの「データ取得・結合」、さらにクラウド的な「情報共有とコミュニケーション」をブラウザ上で完結できる。クラウド型の同種のツールとしては、たとえばセールスフォースの「Salesforce Analytics Cloud」があるが、セールスフォースの1ユーザーあたり月額9000円〜の価格プランに対して、Domoは100GBのデータ量などの制約があるが無料のプラン「Starter」を用意しており利用開始の敷居を低くしている。機能的には、350種類以上におよぶコネクターによるアプリケーションやデータベースからのデータ収集と変換、1000種類以上におよぶ業種、役職、ビジネス課題ごとにあらかじめ用意されたアプリ群「Domo Apps」、さらに社員やグループが情報共有やディスカッションを行うコラボレーション機能を有しているのはクラウドサービスならではの新発想のBIツールだといえるだろう。これにより、Domo はBusiness Cloudを自ら「ビジネス管理プラットフォーム」と称している。Domoのユーザー数は世界で1000社を超えており、日本でも、JAL、ANA、リクルート、Yahoo ! Japan、オイシックス、DeNAなどが導入している。Domoの発表によればBusiness Cloudには25ペタバイトを超える100兆行以上のデータがアップロードされており、世界最大のクラウド型アナリティクスプラットフォームだという。
Domo Business Cloud の画面
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URL https://www.domo.com/jp
2016年7月19日 株式会社クラウディット 中井雅也
機能
ビジュアルなBI/ダッシュボードによってビジネスの情報を可視化する機能を中心に、データを収集・変換する機能や、社員のコラボレーションのための機能などを提供する。
可視化
- 「Card Builder」 によって、ドラッグ&ドロップの操作だけで、データを分かりやすく可視化し、ダッシュボードを構成する「カード」を作成
- データソースを追加する際、Card Builder がデータの意味を解読し、最大の効果が得られる視覚化の方法をユーザーに提示
- ユーザー自身で独自のカードを作成またはカスタマイズ
- ページにカードを配置し、ドラッグ&ドロップやサイズ変更、グループ化などの操作で、理解しやすい形式で表示
- 経営者、財務、営業部門、マーケティング部門、情報システム部門などの組織と役割に応じて、あるいは、業種に特化したアプリケーション「Domo Apps」を1000種類以上、「Domo Appstore」から提供
接続
- 300種類以上の「Domo Connectors」により、主要なアプリケーションやデータベース、クラウドサービスなどに簡単に接続
- Oracle、SQL Server、 MySQL、PostgreSQLなどのデータベース、Amazon Redshift、Google BigQueryなどのデータウェアハウス、SAP、Salesforce、MS Dynamics、HubSpot、Marketoなどのアプリケーション、Facebook、Twitter、LinkedIn、InstagramなどのSNS、エクセル、CSV、JSON、XMLなどのファイル、Google Analytics、Adobe Analytics、Hadoop、Youtube、box などのコネクター
- データソースへ接続するための認証情報を管理し、パスワードの有効期限切れなども自動で通知
- 「1 Click Apps」により日常的に使用する各種ビジネスアプリケーションに素早く接続しデータに応じて何を測定すべきかをユーザーに提示
- 「Workbench」により、オンプレミスのデータを週次、日次、即時など自在に設定したスケジュールでアップロード
変換/準備
- ETLツールの「Domo Magic」により、Domo Magic を使えば、専門的な知識を持たないビジネスユーザーによるデータのクレンジング、結合、変換が可能
- 「DataFusion」 により、SQL や ETL の専門知識がなくても、簡単に各種データを結合
- 「DataFlows」 により、一般的なSQL コマンドを使用して、データへのアクセス、結合、クレンジング、および変換が可能
情報共有/エンゲージ
- SNSライクな「DomoBuzz」 により、データを共有しながらチームでディスカッションや質疑応答を行い、関係者の意見を取り入れることが可能
- ディスカッション内容を保存し、過去のコメントを検索
- 自分にとって重要な指標に関する会話が発生したときに、テキストメッセージ、電子メール、または Domo のアラート機能で通知
- モバイルデバイスのネイティブアプリとブラウザーベースの HTML 5 に対応し、外出先など場所を問わずにコラボレーションが可能
- 「Profiles」 の名簿機能により、組織内のスタッフの役割や連絡先などの情報を共有
- 「Domo Publication」により、コンテンツをスライドショー形式にしてウェブ上で安全に公開、または他フォーマットにエクスポートが可能
- 「Publication Groups」 により、データのフィルタービューを個人やグループと共有しデータの一部を安全に社内外に公開
- レポートをメールでスケジュール配信可能
- 「Domo Tasks」により、プロジェクトのアクションアイテムの割当とトラッキングを行いタスク管理が可能
最適化
- 指標に閾値を設定することで、ビジネスに重要な変化があったときにメールでアラートを送信
- iOS アプリにより、モバイルデバイスへのテキスト/SMS メッセージまたはプッシュ通知によるアラート送信
- 「Analyzer」により、全体のデータから地域、期間、製品などの条件で絞り込みや並び替えを行い、目的のデータだけを表示
- モバイルからダッシュボードのグラフやディスカッション、名簿などにアクセス
開発者向けツール
- Domo SDK
- DataSet API
- Stream API
- User API
- Group API
使いやすさ
日本語化されたグラフィカルなユーザーインタフェースで簡単に操作ができる。複雑になりがちなデータ関連の設定なども含めてビジネス部門のユーザーでも使いこなせるような優れた操作性を実現している。
マニュアルや書籍など
マニュアル的なドキュメントはほぼ日本語化されている。また「Dojo (道場)」というオンラインコミュニティがあり日本のユーザーが日本語で情報交換をしている。
拡張性
システムリソースをニーズに合わせて自動的にスケールアップ/ダウンする。Domoの発表によればBusiness Cloudには25ペタバイトを超える100兆行以上のデータがアップロードされており、世界最大のクラウド型アナリティクスプラットフォームだという。
可用性
Domoインスタンスのインフラ、拡張性、冗長性、およびプロビジョニングはマネージドサービスとしてDomoによって管理される。データのバックアップは日次で行われる。
SLA
SLAは規定されていない。
自動化機能
マネージドサービスとして提供され、ソフトウェアのアップデートやデータのバックアップなどを含めインフラの管理・運用タスクはDomoによって行われる。SDKとAPIによってデータやユーザーをプログラムから操作することができる。「Workbench」により、オンプレミスのデータを週次、日次、即時など自在に設定したスケジュールでアップロードできる。
セキュリティ
SOC2、HIPPA、Privacy Shield、Shared Assesment、CSA Starの認証を受けている。ファイアウォールおよびネットワークセキュリティ技術を利用しており、総合的なモニタリングで、攻撃を予防し、脅威が検出された場合はDomoのセキュリティおよびITチームにアラートを送られる。SAMLベースのSSOソリューションと統合できるシングルサインオン(SSO)ソリューションを提供し、多要素認証によるユーザーの認証にも対応している。
データセンターの場所
サービスは米国のAWSから提供される。データセンターの場所や数などは明らかにされていないが、AWSによるアジア・パシフィックやヨーロッパのインフラ拡張を発表している。
実績・シェアなど
Domoのユーザー数は世界で1000社を超えており、日本でも、JAL、ANA、リクルート、Yahoo ! Japan、オイシックス、DeNAなどが導入している。海外では、DHL、MasterCard、eBayなど。
エコシステム
Domo App Publisher Partner Programというパートナープログラムを提供しており、Appstoreでは数百社もの開発パートナーによる、 業種・役職に特化したアプリケーションを直ちに入手するこ とができる。また、「Dojo (道場)」というオンラインコミュニティがありユーザーどうしで情報交換を行っている。日本国内の販売パートナーとしては富士通とトランスコスモスとアイ・エム・ジェイがある。
価格および支払い方法
最大データ容量が100GBなどの制限があり、コミュニティによるサポートの「Starter」は無料。データ容量が無制限で、電話・メールによるサポートのある「Professional」「Enterprise」は有料で価格は非公開。これらはグローバルにおけるサービスで、日本国内では「Enterprise」のみの販売となる。
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