クラウド図鑑 Vol.90

概要

2015年7月に「Googleのデータベースサービス」 の記事を書いた時点から、Googleは、データベース関連サービスについて、さまざまな機能追加や拡張を行ってきた。Googleが本来的に得意とするビッグデータ系のサービスよりも、エンタープライズアプリケーションで不可欠なRDB系のサービスが強化された印象があり、クラウド事業部門トップのダイアン・グリーン氏が、先頭を走るAWSに対して「5年後に追い抜く可能性は大いにある」とする意欲的な取り組みが感じられる。ここで主な強化の流れをまとめてみた。

2016年8月
RDBのマネージドサービス「Cloud SQL 第2世代」をベータから正式サービスとして提供
 ・MySQL 5.6、5.7が利用可能
 ・最大でスループットが7倍
 ・オプションでフェールオーバー、読み取りレプリカを追加
 ・バックアップ期間とメンテナンス時間を設定可能
 ・ポイントインタイムリカバリー
 ・ストレージの自動拡張
NoSQLのマネージドサービス「Cloud Datastore」をベータから正式サービスとして提供
 ・トランザクション処理と高可用性に優れるNoSQL
NoSQLのマネージドサーチス「Cloud Bigtable」をベータから正式サービスとして提供
 ・高速で大量なデータの処理に優れる
IaaSの「Compute Engine」において Microsoft SQL Server のイメージを提供し、ライセンス持ち込み(BYOL)も可能にし、SSDの永続ディスクの性能(IOPS)を1万5000から2万5000に向上

2016年11月
東京リージョンを開設し、Cloud SQL 第二世代、Cloud Datastore、Compute Engineなど主要サービスが国内で利用可能に

2016年2月
RDBとNoSQLの特性をあわせ持つ新型データベース「Cloud Spanner」のベータ提供開始

2017年3月
SAPとGoogleの提携によりインメモリーデータベース「SAP HANA」がGoogle Cloudで稼働可能であるという認定を取得、および、RDBのマネージドサービス「Cloud SQL」でPostgreSQLが利用可能に(ベータ)

Cloud SQL の設定画面
Google Cloud SQL
(クリックで拡大)

URL   https://cloud.google.com/products/storage/

2017年5月17日 株式会社クラウディット 中井雅也

機能

2017年5月時点で、Google Cloudのデータベース系サービスは主に5種類ある。
・RDBのマネージドサービス「Cloud SQL」(MySQL, PostgreSQL)
・NoSQLのマネージドサービス「Cloud Datastore」
・超大規模データ検索のマネージドサービス「Big Query」
・超大規模データ処理のNoSQLマネージドサービス「Big Table」
・RDBとNoSQLの特性をあわせ持つ新データベースサービス「Cloud Spanner」(ベータ)
上記のPaaSを補うIaaSの「Compute Engine」では、Microsoft SQL Serverのイメージが提供され、ライセンス持ち込み(BYOL)が可能。また、SAPとGoogleの提携によりインメモリーDBの「SAP HANA」が認定されている。

GoogleのCloud SQLでは、世界中で幅広く利用されているオープンソース データベースであるMySQL データベースをマネージドサービスとして提供し、ソフトウェア導入、パッチ管理、バックアップなど手間のかかるデータベースのタスクをGoogle Cloudが行う。最大 10TB のストレージ容量、25,000 IOPS、1 インスタンスにつき 32のCPU、208GB の メモリーを利用できる。2017年5月時点では、MySQL 5.6、5.7が利用可能で、PostgreSQLはベータだ。オプションでフェールオーバー、読み取りレプリカを追加可能。バックアップの期間とメンテナンス時間を設定し、ポイントインタイムでのリカバリーが可能。ストレージは自動的に拡張される。

Cloud Datastoreでは、スキーマレスな NoSQLデータベースを使用して、非リレーショナル データを格納し、トランザクションにも対応、SQL に似たクエリでデータを取り出せる。高可用性と一貫性のあるデータベースを提供するために、複数サーバへのデータ分散(シャーディング)とレプリケーションは Google側 で自動的に処理される。自動的な拡張と、複数のデータ センターをまたがるデータの複製が自動的に作成され、高い可用性と耐久性もビルトインされている。

Cloud Spanner (ベータ) は、SQLによるデータ定義とデータ操作、トランザクション処理も可能でありながら、数百以上のノードによる水平スケーリングが可能な新しいデータベースサービスだ。自動スケーリング機能、同期データ レプリケーション、ノード冗長性を備え、99.999%の可用性を提供するという。Google 社内において Spannerは、毎秒数百万件ものクエリに対応してきたとのことである。Cloud Spanner は魅力ある機能を持つが、既存のデータベースとの互換性はなく、現時点でベータであるため、実際のアプリケーションの要件にあわせた検証(PoC)をおすすめする。

「BigQuery」と「Big Table」については、「Google のビッグデータサービス」を参照いただきたい。

使いやすさ

Cloud SQL、Cloud Datastore、Cloud Spannerは日本語のコンソールに統合されており、画面から設定や構成を行うことができる。

マニュアルや書籍など

Googleによってマニュアルやチュートリアルが用意されている。Cloud SQLもCloud Datastoreも基本的なドキュメントの多くは日本語化されている。

拡張性

Cloud SQLは、スケールアップが可能で、最大で32CPU、208GBメモリーまで利用できる。ストレージは最大10TBの構成で、25,000 IOPSの処理に対応できる。また、リードレプリカによって、1 つのデータベースインスタンスの処理能力を超えてリード性能を拡張できる。Cloud Datastoreでは拡張は自動的に行われ、複数サーバへのデータ分散(シャーディング)やレプリケーションは Google側 で自動的に処理される。

可用性

Cloud SQLのデータは複数の地理的に異なる場所(ゾーン)に複製され、フェイルオーバー処理を自動的に行いデータを保護し、障害が発生しても地理的に離れた別なゾーンでサービスが継続される。自動または任意の操作によって、最大で7つのバックアップを保持して、ポイントインタイムのリカバリーが可能。Cloud Datastoreでは複数のデータ センターをまたがるデータの複製が自動的に作成され、高い可用性を実現している。Cloud Datastoreでは計画ダウンタイムはない。

SLA

Cloud SQL および Cloud Datastore のSLAは、月間アップタイム率を99.95%以上、Cloud Spannerは月間アップタイム率を99.999%としており、達しない場合は請求金額が割り引かれる。

自動化機能

Cloud SQL、Cloud Datastore、Cloud Spannerは、コンソールだけでなくAPIでさまざまな操作が可能。

セキュリティ

Cloud SQL は SSAE 16、ISO 27001、PCI DSS v3.0、HIPAAに準拠している。データは、Google の内部ネットワーク上にあるときも、データベース テーブル、一時ファイル、バックアップに保存されるときも暗号化される。
Cloud Datastore はすべてのデータをディスクに書き込む前に自動的に暗号化する。

データセンターの場所

Cloud SQL、Cloud Datastoreは、Google Cloud の東京リージョンを含む主要リージョンからサービス提供している。Cloud Spannerは、2017年5月の時点で東京リージョンからサービスを提供していない。

実績・シェアなど

データベース系のサービスだけでのシェアの数字などは見つけられないが、国内でもAmemaTV、株式会社Donuts、アドイノベーション株式会社などが、Cloud SQLとCloud Storageを利用している。

エコシステム

Cloud SQLは技術的には通常のMySQLであり、MySQLを前提とする多くのソフトウェアエコシステムがそのまま利用できると考えられる。
Google Cloudのサービスパートナーのページには電通国際情報サービスや野村総合研究所を含む28社が名前を連ねている

価格および支払い方法

Cloud SQL インスタンス使用料金が、600 MB~208 GBのメモリー量に応じて、$0.0150/時間 – $4.0240/時間(継続利用割引で、$0.0105/時間- $2.8168/時間)、SSDストレージ使用料金が $0.17・GB/月、Standardストレージ使用料金が$0.09/GB/月。
Cloud Datastoreには無料枠があり、データ保存容量1 GBまでの無料枠を超えると$0.18/GB/月、エンティティの読み込み数50,000までの無料枠を超えると$0.06/10 万エンティティ、エンティティの書き込み数20,000までの無料枠を超えると $0.18/10 万エンティティ。
Cloud Spannerのノード使用料金は、$0.90/ノード/時間、ストレージ(SSD のみ)使用料金が$0.30/GB/月となる。

基本的にクレジットカードによる支払いとなる。