クラウド図鑑 Vol.14

概要

MicrosoftのAzureは、AWSと同様に、さまざまなストレージサービスを提供している。「Azure Storage」という サービスとして、 ドキュメント、メディア 、アプリケーション など、さまざまな種類のテキスト データやバイナリ データを格納する「BLOB ストレージ」、スキーマレスのNoSQL/KVSである「テーブル ストレージ」、ワークフロー処理とクラウド サービスのコンポーネント間通信のための、信頼性の高いメッセージング機能を提供する「キュー ストレージ」を提供している。SMB 2.1 プロトコルを使用して、レガシ アプリケーション用の共有ストレージ・ファイルサーバーを提供する「ファイル ストレージ」は現在プレビューである。またAzureの仮想マシンから使える高性能ストレージとして「Premium Storage」を提供している。なお、本稿においては、NoSQLのサービスである「テーブルストレージ」とメッセージング通信のサービスである「キューストレージ」は割愛する。

Azure Storageの設定画面
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URL  https://azure.microsoft.com/ja-jp/documentation/articles/storage-introduction/

2015年7月30日 株式会社クラウディット 中井雅也

機能

Azure Storageの「BLOB ストレージ」 には、「ブロック BLOB」 と「ページ BLOB (ディスク) 」の 2 種類がある。ブロック BLOB はストリーミングとクラウド オブジェクトの格納に最適化されており、ドキュメント、メディア ファイル、バックアップなどの格納に適している。ブロック BLOB は、最大 200 GB までサイズを拡大可能。ページ BLOB は、IaaS のディスクとして使用でき、ランダムな書き込みをサポートするように最適化され、最大 1 TB までサイズを拡大できる。スナップショットの機能を提供している。Azure 仮想マシン ネットワークに設置された IaaS ディスクは、ページ BLOB として格納される VHD である。Azureのクラウドの特徴として、オンプレミスのWindows環境との親和性があるが、Hyper-Vの仮想環境で作成したイメージファイル(VHD)をAzureクラウドに転送してオンプレミスと同じように稼働させることができる。
プレビューの「ファイルストレージ」では、Azure の仮想マシンまたはクラウド サービスで実行しているアプリケーションが、デスクトップ アプリケーションから通常の SMB 共有をマウントする場合と同じように、ファイル ストレージ共有をマウントすることで、ファイル データにアクセスできる。またREST API によってファイル共有内のデータにアプリケーションからもアクセスができる。Azure ストレージ アカウント内のデータは、常にレプリケートされており、ハードウェア障害が発生した場合でもサービスは継続する。レプリケーション オプションは、ローカル冗長ストレージ(LRS)、 ゾーン冗長ストレージ (ZRS)、geo 冗長ストレージ (GRS)、読み取りアクセス geo 冗長ストレージ (RA-GRS)がある。仮想マシンの高速化のためのストレージが 「Premium Storage」で、従来のハードディスクベースの「Standard Storage」より高性能のSSD)を使用している。仮想マシンには複数の Premium Storage ディスクをアタッチ可能で、 VM あたり最大 32 TB (テラバイト) の容量と 64,000 IOPS (1 秒あたりの入力/出力操作)の性能を実現できるという。

使いやすさ

いずれのストレージサービスもコンソールから各種リソースの作成・設定・起動・終了などを行うことができる。また、 REST API によるアクセスが可能で、.NET、Java、Android、C++、Node.js など複数の言語のプログラミング ライブラリも用意されている。ドキュメントも多く用意されているが日本語化されていないものもある。

マニュアルや書籍など

Microsoftによってマニュアルやチュートリアルなどのドキュメントが用意されている。ただし日本語化されていないものもある。ネット上での情報は多いほうだと思われる。

拡張性

Azure Storageはアカウントあたり最大 500 TB のストレージを提供し、1 つのサブスクリプションで最大 50 のストレージ アカウントをサポートし、ペタバイト単位のストレージ環境を実現できる。Premium Storageは、VM あたり最大 32 TB (テラバイト) の容量と 64,000 IOPS (1 秒あたりの入力/出力操作)の性能まで拡張できる。

可用性

Azure Storageのデータは、持続性と高可用性を確保するために常にレプリケートされており、一時的なハードウェア障害が発生した場合でもサービスが継続する。ストレージ アカウントを作成するときに、以下の4つのレプリケーション オプションが選択できるようになっている。「ローカル冗長ストレージ (LRS)」による、 1 つのリージョンの 1 つの施設内で 3 つのデータ複製による、通常のハードウェア障害からの保護。「ゾーン冗長ストレージ (ZRS)」による 1 つまたは 2 つのリージョン内の 2 ~ 3 の施設での 3 つのデータ複製による単一施設障害からのデータ保護。ただしこのオプションはブロックBLOBに限られる。「geo 冗長ストレージ (GRS)」による、プライマリ リージョン内で 3 つの複製、プライマリ リージョンから数百マイル離れたセカンダリ リージョンでも 3 つの複製によるリージョンレベルの障害からの保護。このオプションではプライマリ リージョンで障害が発生すると、Azure Storage はセカンダリ リージョンにフェールオーバーする。「読み取りアクセス geo 冗長ストレージ (RA-GRS)」による地理的に離れた 2 次拠点へのデータをレプリケート、および、2 次拠点にあるデータへの読み取りアクセスの提供。なお、Premium Storageではローカル冗長ストレージ (LRS)のみとなる。

SLA

Read Access-Geo Redundant Storage (RA-GRS) では、データの読み取り要求が 99.99% 以上、正常に処理されることを保証。ただし、プライマリ リージョンからのデータの読み取りに失敗した場合、セカンダリ リージョンで読み取りを再試行するものとする。Locally Redundant Storage (LRS)、Zone Redundant Storage (ZRS)、および Geo Redundant Storage (GRS) では、データの読み取り要求が 99.9% 以上、正常に処理されることを保証。Locally Redundant Storage (LRS) 、Zone Redundant Storage (ZRS) 、Geo Redundant Storage (GRS) 、および Read Access-Geo Redundant Storage (RA-GRS) アカウントへのデータの書き込み要求が 99.9% 以上の時間において、正常に処理されることを保証。

自動化機能

APIによってプログラムからさまざまなコントロールが可能。

セキュリティ

基本設定では所有者しかストレージ リソースにアクセスできないが、データへの匿名読み取りアクセスを許可する、あるいは、共有アクセス署名によってリソースを公開することができる。共有アクセス署名はアクセスポリシーで管理できる。パブリック アクセスが許可されたデータは、匿名ユーザーが読み取ることができ、その際に要求の認証は不要となる。

データセンターの場所

Azure は、北米、南米、ヨーロッパ、日本と中国を含むアジアなど、グローバルの19  22リージョンにわたるデータセンターで稼働しており、場所を指定することができる。日本でも東日本と西日本にデータセンターがある。

実績・シェアなど

米調査会社のSynergy Research Groupの調査によれば2015年第一四半期のシェアはAWSに次いで第2位だった。フォーチュン 500 社のうち 57% を超える企業が Azure を使用しているとのこと。
米Synergy Research Groupによる2016年第3四半期におけるワールドワイドのクラウドのシェアの調査結果では、IaaSではAWSが首位でシェアは45%で、2位はMicrosoft、3位Google、4位IBM、また、PaaSにおいてもAWSはシェアトップで、2位はSalesforce.com、3位Microsoft、4位IBMとなっている

エコシステム

Windowsの開発パートナー、販売パートナー、SIパートナーなどによるエコシステムが充実している。

価格および支払い方法

従量課金で、総コストは、保管したデータの量、ストレージ トランザクションと送信データ転送の量、および選択したデータ冗長オプションに応じて異なる。日本円での支払いも可能で、クレジットカード以外にも請求書払いも可能。最大30日間200ドル相当の無料枠が用意されている。
参考価格としては、ブロックBLOBのLRSで最初の1TBが2.45円/月。ページBLOBのLRSで最初の1TBが5.10円/月。ストレージトランザクションが10 万トランザクションごとに 0.37円。