クラウド図鑑 Vol.88

AWSを始めとするグローバルなクラウドの多くは即日利用できる無償トライアルプログラムや一定の使用量内での無料枠を用意しており、費用なしでクラウドのサービスを試すことができる。クラウド図鑑では、20社以上のクラウドプロバイダのトライアルプログラムにより50種類以上のクラウドサービスに実際に触れてきた。

このような無償トライアルのプログラムに関しても、リードしてきたのはAWSであり、EC2やS3、RDSといった主要サービスにおいてサインアップから12ヶ月間の無償トライアルが可能で、DynamoDBやLambdaなどのサービスでは一定の使用量(無料枠)内であれば期間の制限なく利用できる。まずは無償で簡単に試せる、ということは、いうまでもなく技術者にとって重要でありAWSを普及させてきた一因となっている。

これに対抗したのが2017年3月のGoogle Cloudの発表であり、AWSと同じく12ヶ月間(上限300ドル)の主要サービスの無償トライアルと、15のサービスの永久無料枠を提供開始した。特に後者の永久無料枠は、小さいが仮想マシンのインスタンスや、オブジェクトストレージ、Google Cloudで人気の高いビッグデータ検索のBigQueryやAI系のサービスなどを含んでおり魅力的である。これにより、Google Cloudは、基本サービスを無料で提供するフリーミアム(Freemium)のモデルに移行したといえる。今後、クラウド各社がどのようにフリーミアムのモデルを取り入れるかが注目される。

注)本情報は2017年3月時点のものであり、クラウドプロバイダの事情により、変更がある可能性があり、また、無償トライアルの期限や無料枠を超えると予想外の料金請求が行われることもあり得るため、各社の使用条件をご理解の上、自己責任にてお試しいただきたい。
また、予想外の料金請求を避けるために、試用や検証が完了したインスタンスやサービスはこまめに停止することを強くおすすめする。

2017年3月15日 株式会社クラウディット 中井雅也

 

AWSの「無料利用枠」では主要サービスが12ヶ月間、無料で使用可能

 AWSの「無料利用枠」は、AWSに対して新規のお客様を対象としており、AWS の主要クラウドサービスを無料で実際に利用してみることができる。AWS にサインアップした日から 12 か月間使える無料利用枠と、12 か月間の期間終了後にも無料で使える追加サービスが提供されている。 

・最も一般的なAmazon EC2の仮想マシンのサービスでは、「1vCPU、1GBメモリーのt2.microインスタンス(仮想マシン)が月間750時間まで無料枠の範囲で使用できて、サインアップから12ヶ月で有効期限が切れる」といった説明がAWSのサイトに記述されている。これは、簡単にいえば、1vCPU、1GBメモリーの仮想マシンが1日24時間x1年間、無料で利用できる、ということだ。OSは、AmazonのLinux、Red HatのLinux、SUSEのLinux、Windowsが用意されている。なお、t2.microインスタンスのスペックの詳細については割愛するが、常時サーバーに負荷がかかるような使用方法でなければ、軽いWebサーバーや軽いDBサーバーなどの用途で概ね良好に動作するはずである。

・同じく、750時間x12ヶ月の範囲で、Elastic Load Balancing、RDS、ElastiCacheなどが利用可能、ストレージサービスのAmazon S3では5GBの容量など、さまざまなAWSのサービスの無料枠が用意されている。

・さらに、期限なしで、NoSQLのサービスのAmazon DynamoDBで25GBのストレージ容量、AWS Lambdaの1ヶ月100万回のリクエストなどの無料枠がある。

・また、AWSのMarketplaceから、無料枠で利用できるサードパーティのソフトウェアも400種類以上用意されている。

・クレジットカード情報と、AWSアカウントへのサインアップが必要

詳細は「AWSクラウド無料利用枠」のページを参照いただきたい。

https://aws.amazon.com/jp/free/


Google Cloud Platformの「無料試用」では最大300ドル、12ヶ月の範囲で無料のお試しが可能。さらに15のサービスの永久無料枠が利用可能。

Google Cloud Platformに含まれるほぼ全てのサービスで使える 300 ドル 分のクレジットが提供され、仮想マシン、オートスケールするウェブ アプリ(PaaS)、データベース、オブジェクト ストレージ、DNS サービス、ビッグデータ解析やリアルタイムのクエリ、翻訳や機械学習など、Google Cloud Platform に含まれるサービスを検証できる。無料トライアルは、12ヶ月 が経過した時、または 300 ドル分の利用があった時に終了するためキャンセルなどの手続きは必要ない。

・12ヶ月間300ドルの範囲で、仮想マシン、自動拡張するウェブ アプリ(PaaS)、データベース、オブジェクト ストレージ、ネットワークと DNS サービス、ビッグデータ、ETL とリアルタイム クエリ、翻訳、機械学習、すべての GOOGLE APIを無償トライアル可能

・クレジットカード情報と、トライアルへのサインアップが必要

・期限なしで、米国リージョンのf1-micro 1インスタンスおよびHDD 30GB、オブジェクトストレージ(5GB)、NoSQL(1GB、読み出し5万回、書き込み2万回、削除2万件)、Google App Engine(24インスタンス時間/日、Cloud Storage 5GB)、Pub/Subメッセージング (10GB)、サーバーレスの関数処理(呼び出し200万回)、コンテナー(5ノード以下、ただし仮想マシンに課金)、ビッグデータ検索 BigQuery (クエリ1TB)、CVision API(1000ユニット)、Speech API(60分)、Natural Language API(5000ユニット)などが無償で利用可能(Free Tier)

詳細は「Google Cloud Platform 無料トライアル」のページを参照いただきたい。

https://cloud.google.com/free-trial/?hl=ja

また永久無料枠の詳細は Always Free Usage Limits のページ(英語)を参照いただきたい。

https://cloud.google.com/free/docs/always-free-usage-limits

 

Microsoft Azureの「無料使用版」では最大20,500円、1ヶ月の範囲で無料のお試しが可能

Azureのサービスで使える 20,500円 のクレジットが提供され、仮想マシン、データベース、Webサイト、Hadoop、Active Directoryなど、Azure に含まれるサービスを検証できる。無償トライアルは、1ヶ月 が経過した時、または 20,500円分の利用があった時に終了するためキャンセルなどの手続きは必要ない。

・クレジットカード情報と、評価版アカウントへのサインアップが必要 

詳細は「1 か月間の無料試用版」のページを参照いただきたい

https://azure.microsoft.com/ja-jp/pricing/free-trial/

 

 

IBM Bluemixの「フリートライアル」はクレジットカードの登録不要で、30日間の無償トライアルが可能。以降もクレジットカードの登録により、多くのサービスを無料枠の範囲で継続使用が可能。

IBM Bluemix のフリートライアルは 30日間無償で提供され、クレジットカード情報も必要なく、Watsonサービスなどを含むBluemixの全機能を試すことができる。無償トライアルは、1ヶ月 が経過した時に終了するためキャンセルなどの手続きは必要ない。

・さらに、30日を過ぎた後も、多くのサービスにはクレジットカード登録により、期限なしで使える無料枠が用意されている。

・フリートライアルへのサインアップが必要 

詳細は「フリートライアル」のページを参照いただきたい

http://www.ibm.com/developerworks/jp/bluemix/registration.html

 

IBM SoftLayerの「無料トライアル」は1ヶ月無料で利用できる仮想サーバーインスタンスが提供される。

IBM SoftLayer のフリートライアルは 30日間無償で利用できる仮想サーバーインスタンスが提供される。ただし、同じIBMでもBluemixとは異なりクレジットカード情報が必要だ。また、本人確認の電話が入ることがある。なお、30日を過ぎた後は、サーバーを削除しないと登録したクレジットカードに課金されてしまう。

・クレジットカード情報と、無料トライアルへのサインアップが必要 

詳細は「無料トライアル」のページを参照いただきたい。

http://www.ibm.com/cloud-computing/jp/ja/softlayer_freecloud.html

 

Oracle Cloud の「無料トライアル」はクレジットカードの登録不要で、30日間(延長により最大60日間)の無償トライアルが可能。

Oracle Cloud の無料トライアルは 30日間(延長により最大60日間)無償で提供され、クレジットカード情報も必要なく、Compute、StorageなどのIaaSと、Oracle DBやWeblogicが使えるDatabase Cloud、Java Cloudを含むさまざまなのPaaSの機能を試すことができる(さらにOracleアプリケーションのSaaSもあるが、本記事では割愛)。無料トライアル は、期間が経過した時に終了するためキャンセルなどの手続きは必要ない。

・無料トライアルへのサインアップが必要 

詳細は「無料トライアル」のページを参照いただきたい

https://cloud.oracle.com/ja_JP/tryit

 

 

本記事においては、IaaSを提供している主要クラウドの無償トライアルを主に紹介しているが、下記のクラウドサービスは、いわゆるフリーミアム(Freemium)のモデルを採用し、期限なく無料枠で使えるサービスを提供している。

  • SAP HANA Cloud Platform :Developers エディションは無償で利用可能
  • Heroku:クレジットカード登録で1ヶ月あたり1000 dyno hours,登録しないと1ヶ月あたり550 dyno hours
  • Dropbox:個人 2GBまで無償で利用可能
  • Box:個人 10GBまで無償で利用可能
  • SendGrid:月間40000通のメール送信まで無償で利用可能
  • Slack:10000メッセージ、5GBのストレージ
  • Trello:10GBまでの添付ファイルなど