クラウド図鑑 Vol.12

概要

Google Cloud Platformは、AWSと同様に、さまざまなストレージサービスを提供している。Google Compute Engine(GCE)の仮想マシンのために、ブート可能なSANストレージのように機能する外部ストレージ「Compute Engine 永続ディスク」をハードディスクとSSDで2タイプで提供する。また、さらに高性能にフォーカスしたオプションとして「Local SSD」も提供している。そしてAWSのS3同様のオブジェクトストレージとして、「Google Cloud Storage Service (GCS)」を標準的な「Standard Storage」と、可用性のレベルを落とし低価格にした「Durable Reduced Availability Storage」、さらに2015年7月から提供開始したアーカイブ・バックアップ用途の「Cloud Storage Nearline」の3タイプで提供している。さらに、Google Cloud Platformとは異なるパーソナルユース、あるいは企業の個人向けクラウドストレージとして「ドライブ」を提供している。

Google Cloud Storageの設定画面
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URL  https://cloud.google.com/storage/?hl=ja
https://cloud.google.com/developers/articles/compute-engine-disks-price-performance-and-persistence/?hl=ja

2015年7月28日 株式会社クラウディット 中井雅也

機能

「Compute Engine 永続ディスク」はGoogle Compute Engine (GCE) の一部として仮想マシンインスタンスからマウントして使用する。ゾーン内での冗長性が組み込まれており、読み書きするデータは暗号化され、チェックサムによりデータの整合性を維持し、複数ゾーンに自動複製されるスナップショットにより、災害などによるゾーン障害時にも別なゾーンで復旧が可能。特徴的なのは、読み取りモード限定であれば、複数のノードからアクセスできること、そして、GCEの特徴でもあるが、インスタンスにローカル ストレージが不要なため、Google Live Migration を使用して新しいハードウェアに自動的に移行されることである。最大10TBまで拡張できるハードディスクベースの「Standard Persistent Disk」と、より高性能で最大1TBまで拡張できるSSDベースの「SSD PD」の2つのタイプのストレージが用意されている。オブジェクトストレージの「Google Cloud Storage (GCS) 」は、XML や JSON、あるいは一般的なプログラミング言語からファイル単位で保存や取り出しができる。 オブジェクトのバージョン管理、並列アップロード、CRC ベースの整合性チェックなどの機能を持ち、RESTful API 以外にもBigQuery、App Engine などの Cloud Platform サービスからもデータにアクセスできる。また、htmlファイルを配備すればWebサーバーとして機能させることができる(ただし静的htmlコンテンツに限定される)。データは暗号化され、自動的に複数のデータセンターにレプリケートされる。高速なアクセスと高い可用性を提供する「Standard Storage」、可用性のレベルを99%に落として価格も下げた「Durable Reduced Availability (DRA)」、さらにアクセス速度のレベルも落とした(典型的には2秒〜5秒かかるとのこと)「Cloud Storage Nearline」の3クラスのサービスをデータの性質に応じて使わけることで階層型のストレージ環境を構築できる。

使いやすさ

いずれのストレージサービスもコンソールから各種リソースの作成・設定・起動・終了などを行うことができる。また、Googleのクラウドサービスとして一貫性があるコマンドラインやAPIからの操作が可能。ドキュメントも多く用意されているが日本語化されていないものも多い。

マニュアルや書籍など

Googleによってマニュアルやチュートリアルなどのドキュメントが用意されている。ただし日本語化されていないものが多い。AWSの S3からGCSへの移行方法もマニュアルとして提供されている。ネット上での情報は多いほうだと思われる。

拡張性

Compute Engine 永続ディスクのStandard Persistent DiskおよびSSD PDにおいてはボリュームサイズに応じて性能が向上する。Standard Persistent Diskにおいては1ボリュームの最大容量10TBにおいて読み込みで3000IOPS、書き込みで15000IOPSになる。SSD PDにおいては1ボリュームの最大容量1TBだが、仮想マシンの読み込み性能の上限である10000IOPSに対して333GBの容量で、書き込み性能の上限の15000IOPSに対して500GBで到達する。Google Cloud Storageにおいて、格納可能なデータの総量とオブジェクトの数には制限は特にない。

可用性

永続ディスクには冗長性が組み込まれており、機器の障害からデータが保護され、データセンターのメンテナンス中でも利用が可能。インスタンスにローカル ストレージが不要なため、 Google Live Migration を使用して新しいハードウェアに自動的に移行され、ソフトウェア、ハードウェア、設備のメンテナンスでも基本的にサービスは継続される。オブジェクトストレージサービスのGoogle Cloud Storage は複数の地域に配置されている冗長ストレージによりデータを保護しており、高い可用性を実現している。

SLA

永続ディスクのSLAはCompute Engineに含まれ、月間使用可能時間が99.95%未満になると請求金額が割り引かれる。
Google Cloud StorageのStandard Storageは月間使用可能時間が99.9%未満になると請求金額が割り引かれる。Google Cloud StorageのDurable Reduced Availability Storage とNearlineは月間使用可能時間が99%未満になると請求金額が割り引かれる。

自動化機能

APIによってプログラムからさまざまなコントロールと自動化が可能。

セキュリティ

永続ディスクのデータは、仮想マシン インスタンス外では常に暗号化される。インスタンスがディスクに書き込みを送信する際は、データを透過的に暗号化してからネットワークに送出する。Google Cloud Srorageにおいても全てのデータは暗号化される。さらに、きめ細かなアクセス制御と OAuth により、カスタマイズ可能で強力なセキュリティを実現しており、アクセス権限のないユーザーからのアクセスを制御することもできる。またオプションでアクセスのログを記録し、監査に使用することができる。GlacierにおいてもS3同様に暗号化機能やアクセス制御が可能。

データセンターの場所

Googleのクラウドは、北米、ヨーロッパ、アジアの3拠点(リージョン)で運用されており、各リージョンは複数のゾーン群で構成される。これまで Google Cloud で課題とされてきた日本のデータセンターは、2016年11月8日に東京リージョンの正式運用が発表された。2015年5月現在では世界で10のゾーンを展開している。「ゾーン」という形でデータセンターの場所を指定することができる。ただし2015年7月の時点で日本にデータセンターはない。

実績・シェアなど

Googleのクラウド全体として、米調査会社のSynergy Research Groupの調査によれば2015年第一四半期のシェアはAWS, Microsoftに次いで第3位だった。しかしながら導入社数などの具体的な数字は公開されていない。
米Synergy Research Groupによる2016年第3四半期におけるワールドワイドのクラウドのシェアの調査結果では、IaaSではAWSが首位でシェアは45%で、2位はMicrosoft、3位Google、4位IBM、また、PaaSにおいてもAWSはシェアトップで、2位はSalesforce.com、3位Microsoft、4位IBMとなっている

エコシステム

現在エコシステムを拡張中で、Nearlineのパートナーとして、Veritas、NetApp、Iron Mountaion、Geminareなどが対応ソリューションを提供する。

価格および支払い方法

従量課金で時間単位の課金が可能となっている。基本的にUSドルでのクレジットカード決済となる。
参考価格としては、永続ディスクのStandardが月額で$0.04/GB、SSD PDが月額で$0.17/GB、Snapshotが月額で$0.026/GB。Cloud StorageのStandardのStandardが月額で$0.026/GB、DRAが月額で$0.02/GB、Nealineが月額で$0.01/GB。ネットワーク、および、Nearlineのデータ取り出しに別途費用が発生する。