クラウド図鑑 Vol.85

概要

2016年9月にGoogleが買収した Apigee は、API管理プラットフォームをクラウドサービスとして提供しており、この分野の先駆的かつ代表的なプロバイダーだ。中心となる「Apigee Edge」は、APIの提供者に対して、可視化、モニタリング、利用状況の分析、セキュリティなどの機能を提供するとともに、APIを利用するアプリの開発者のためのコンソール、および、ポータルからAPIドキュメント、ブログ、フォーラムなどを提供する。同様のサービスや製品を提供するのは、TIBCOが買収したMasheryや、CAが買収したLayer 7、IBM (API Connect)、AWS (API Gateway)、Microsoft (Azure API Management)、Mashape (Kong) などだ。北米のAPIマネジメントソリューションの市場規模は2014年に約140億円 に達しているといわれており、2020年には約660億円の規模に成長すると予想されている(米Forrester)。日本国内においても、API公開によってエコシステムを形成するようなユースケースだけでなく、モバイルやIoTのアプリや、SOAの代替 / 社内システムの連携など、さまざまな用途でAPIを提供および利用することが多くなると予想される。このような状況の中、API管理プラットフォームの必要性の認識も高まるだろう。なぜなら、API管理プラットフォームによって、個別のAPIごとに実装していた認証やログ出力などの機能の重複開発を排除するとともに、アプリの開発者を支援するドキュメント作成なども自動化し、APIの利用を促進できるからだ。

Apigee のAPIコンソール(クリックで拡大)
apigee api console

https://apigee.com/
2017年2月1日 株式会社クラウディット 中井雅也
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機能

「Apigee Edge」はAPI管理プラットフォームの主要機能をクラウドサービスとして提供する。また、企業のバックエンド連携などの理由で必要があればオンプレミス環境への配備も可能。「Apigee Edge」の主要機能としては、1. APIゲートウェイ(プロキシー)  2. モニタリング・分析 3. 開発者ポータル だ。

  1. API ゲートウェイ(プロキシー)
    – OAuthやAPI Keyによる認証
    – コンテンツベースのセキュリティやデータマスキング
    – キャッシュ
    – 負荷分散
    – API使用量の制限
     など
  2. モニタリング・分析
    – ダッシュボード
    – カスタムレポート
    – APIの振る舞いのグラフィカルな表示
    – レスポンスタイム、エラーレート、呼び出し回数
    など
  3. 開発者ポータル
    – APIコンソール
    – アプリ開発者向けポータル (OSSのCMS「Drupal」を利用)
    – ブログ
    – フォーラム
    – APIドキュメントの自動生成
    – アプリ開発者のユーザー登録と管理
    など
  4. マネタイズ
    – 課金の設定
    – レポート
    など
  5. 連携
    – AWSの主要機能との連携:Lambda、S3、RDSなど
    – Cloud Foundryとの連携
    など

Apigee 全体としては、「Apigee Edge」以外にも、バックエンドサービスの「API BaaS」、外部からの攻撃に対する保護ソリューションの「Sense」、R言語による予測モデルによるレコメンデーション「Insight」などを提供する。

使いやすさ

APIのゲートウェイや分析、ポータルなどは、グラフィカルな画面による操作が可能。ただし2017年1月時点においては、画面は日本語化されておらず英語である。

マニュアルや書籍など

Apigee によって、大量のマニュアルやチュートリアル、ビデオなどが提供されている。マニュアルの一部は日本語化されている。

拡張性

ダイナミックスケーリングで処理能力を拡張。SaaS基盤においては月間200億呼び出しを処理。クラウドサービスによってAPIのトラフィックをとらえるアーキテクチャであるために処理の遅延が発生するが、これを補うためにキャッシュ機能を提供している。

可用性

高可用性アーキテクチャによりクラウドサービスにおいて最大99.99%のSLAを提供。

SLA

クラウドサービスにおいてレベルに応じ、
– 99.99%
– 99.9%
– 99.5%
のSLA

自動化機能

APIプラットフォームをManagement APIでコントロールして自動化が可能。

セキュリティ

認証・認可・SSLなどAPI管理プラットフォームとして標準的なセキュリティ機能を提供。SaaS基盤は PCI DSS,HIPAA, SOC1, SOC2に対応。botによる攻撃の対策ソリューションも提供。

データセンターの場所

クラウドサービスはAWSの20ヶ所以上のデータセンターから提供。

実績・シェアなど

Walgreens, eBay, Burberry, Morningstar, First Dataなど

エコシステム

国内ではCTC,TIS,富士通がパートナーとしてインテグレーションサービスなどを提供

価格および支払い方法

月200万回API呼び出しと基本機能で300USドル/月(SaaS)。月800万回API呼び出しと開発者ポータルなどが使えるProエディションが2250USドル/月(SaaS)。2億5千万回API呼び出し/四半期とオンプレミスで使えるEnterpriseエディションは価格非公開。