クラウド図鑑 Vol.84

概要

オープンソースの「Wordpress」はCMS(Contents Manage System)のソフトウェアとして標準的な存在であり、世界のWebサイトの26%で使用され、CMSのシェアの59%を獲得しているという。支持される代表的な理由は、オープンソースで無償から始められること、4万種類を超えるプラグインソフトウェアによって機能を拡張できること、そして12億以上のダウンロード回数が示すようにユーザー数と情報量が多いことであろう。そのWordpressを開発した Matthew Mullenweg がFounder & CEOとして2005年にサンフランシスコで起業した会社が Automattic, Inc. である。Wordpressのクラウドサービス「Wordpress.com」を中心に約500人の社員でビジネスを展開し、Wordpress.comのユーザーとしては、TIME、CNN、USA Today、TED、TechCrunchなど名高いサイトが名前を連ねる。Wordpress.comは、いわゆるフリーミアムモデルを採用し、無償枠で個人が簡単にWordpressでサイト制作を始めることもできるが、前述したような大規模サイトのためのスケーラビリティや高可用性、Wordpressを熟知した技術者のサポートが受けられる「Wordpress.com VIP」というハイエンド向けサービスも用意されている。日本において、現状ではエンタープライズ分野においてWordpressはそれほど普及していないが、Automatticのような会社がハイエンド向けのサービスと技術を提供できることが知られれば状況は変わる可能性がある。Wordpressのソフトウェアは、AWS、Azure、Google Cloudなどでも数クリックの操作で導入して動かすことができるし、マネージドサービスを提供している日本のプロバイダーもあるが、Automatticのようなハイエンド向けのサービスはまだ少ないため、大規模サイトをWordpressで構築する際には、Wordpress.com は検討に値するだろう。

 

WordPress.comの管理画面(クリックで拡大)
Wordpress.com

https://ja.wordpress.com/
2017年1月25日 株式会社クラウディット 中井雅也

機能

「Wordpress.com」はWordpressの主要機能をSaaSとして提供する。無料枠でもWebページの作成、ブログの投稿、画像などメディアの管理、数百のテーマファイルによるルックアンドフィールの変更などの機能が使える。月額360USドルの「パーソナル」ではWordpress.comの広告表示をなくし、月額983USドルの「プロフェッショナル」ではサイトの収益化機能と技術サポートを提供し、月額2983USドルの「ビジネス」ではSEOツールやGoogle Analyticsが使えるようになる。一方で制約もあり、プラグインやテーマはあらかじめ用意されたものしか使えない。
さらに上位の月額5000USドル〜の「Wordpress.com VIP」では、無制限のトラフィックに対するスケーラビリティと無制限のストレージ、コンテンツキャッシュ(CDN)やSSLなどの機能と技術サポートを提供する。また、通常のWordpress.comより多くのプラグインが使えるようになる。バックアップなども含めて運用タスクもマネージドサービスとして提供される。ただしVIPを利用する場合はAutomatticによるQualifiacationが必要になる。

使いやすさ

管理画面は日本語対応しており、デフォルトのインタフェースはネイティブのWordpressと同一でないが、対話式のインタフェースなどで、Wordpressを知らなくても使いやすいものになっている。Wordpressを知っているユーザーのために、Wordpressネイティブの管理画面に切り替えることもできる。

マニュアルや書籍など

WordPressに関する膨大なマニュアルやネットの情報をほぼそのまま使える

拡張性

Webサイトのアクセスが膨大な場合は、Wordpress.com VIPを検討すべきである。Wordpress.com VIPでは無制限のトラフィックへの対策がAutomatticのマネージドサービスに含まれ、利用者が気にする必要がない。Wordpress.com全体で、1日あたり1億ページビューを処理しており、高トラフィックのサイトでもスケーラビリティに関する問題はないだろう。

可用性

WordPress.com VIPのサービスではグローバルで複数のロケーションのデータセンターを使用して冗長性を確保する。各データセンターは冗長化された電源やネットワークなどのファシリティを備えており、毎時間Automatticによって行われるバックアップは3ヶ所のデータセンターに分散保管される。基本的に計画的なメンテナンス時間はなく、もしもあったとしても事前に通知されるとしている。実績値としてほぼ100%に近いアップタイムを実現している。

SLA

2017年1月の時点でSLAはない。

自動化機能

WordPress.com VIPのサービスはマネージドサービスとして提供され、運用タスクはAutomatticによって行われる。

セキュリティ

インフラはAutomatticによってセキュアに保たれる。Wordpress.com VIPでは、二段階認証や、管理ユーザーに対するレビューでアプリケーションレベルのセキュリティを高め、コードのレビューやリクエストに応じたセキュリティスキャン、さらにDDoS攻撃の対策などがサービスに含まれる。

データセンターの場所

東京を含むグローバル19拠点のデータセンターからサービスを提供している。

実績・シェアなど

世界のWebサイトの26%で使用され、CMSのシェアの59%を獲得しているという。TIME、CNN、USA Today、Dow Jones、NEW YORK POST、UPS、TED、TechCrunch、NBC Sportsなど著名なサイトの実績をWordpress.comのサイトで確認できる

エコシステム

WordPressの膨大なエコシステムによって、機能拡張のための4万を超えるプラグインや、ルックアンドフィールを変えるテーマなどが提供される。Wordpressを扱えるWeb制作会社や、プログラミングによるカスタマイズができる技術者も世界中に多数存在する。

価格および支払い方法

無料枠から始められる。月額360USドルの「パーソナル」ではWordpress.comの広告表示をなくし、月額983USドルの「プロフェッショナル」ではサイトの収益化機能と技術サポートを提供し、月額2983USドルの「ビジネス」ではSEOツールやGoogle Analyticsが使えるようになる。
さらに上位の月額5000USドル〜の「Wordpress.com VIP」では、無制限のトラフィックに対するスケーラビリティと無制限のストレージ、コンテンツキャッシュ(CDN)やSSLなどの機能と技術サポートを提供する。