クラウド図鑑 Vol.80

概要

Oracle のクラウド「Oracle Cloud」の特徴は SaaS、PaaS、IaaSを全て網羅していることだが、そのラインアップの中で、IaaSの部分が「Oracle Cloud Infrastructure」で、「ネットワーク」「コンピュート」「ストレージ」を提供する。Oracleは、IaaSに関しては後発であるが、2015年から2016年にかけて急速に強化するとともに「AWS対抗」を打ち出している。ストレージサービス「Oracle Storage Cloud Service」は、AWSのS3に相当するオブジェクトストレージ、データのバックアップや長期保存用のアーカイブストレージ、一般的なNFSでオンプレミスからクラウドのストレージにアクセスできるソフトウェアアプライアンス、Oracleデータベースのバックアップサービスなど多彩なサービスを提供する。アーカイブストレージにおいては1TBあたり月額1ドルという低価格をアピールしているが、日本にデータセンターがないことなどの課題を理解しながら導入を検討すべきだろう。

Oracle Storage Cloud Serviceの設定画面
Oracle Storage Cloud Service
(クリックで拡大)

URL   https://cloud.oracle.com/ja_JP/storage
2016年11月9日 株式会社クラウディット 中井雅也

機能

 Oracle Compute Cloud Serviceの仮想マシンからマウントして使うストレージは、仮想マシンに対して最大2TBのボリュームを10個までアタッチ可能でスナップショット機能が提供される。
 AWSのS3同様のオブジェクトストレージ「Storage Cloud Service – Object Storage」は、コンテナーと呼ばれる単位でデータを管理し、割当て制限を指定しないかぎり、無制限の数のデータオブジェクトを保持できる。HTTP経由でOpenStack Swift互換のRESTful API、またはJavaライブラリ、コマンドインタフェースによるShellスクリプトからのアクセスが可能。データは同一データセンター内の別マシンで三重に複製される。ジオレプリケーションにより地理的に離れたデータセンターへのデータ複製が可能。自己回復機能による定期的なデータ整合性チェックが行われる。役割ベースのアクセス制御により、ユーザーからコンテナーに対しての管理、読取りおよび書込みの権限を制御できる。オプションのクライアント・データ暗号化、データ・センターでのオプションの暗号化を組み合せセキュリティを強化できる。通信はSSLで暗号化される。1つのオブジェクトのサイズは、最大5GBまでで、5GBを超えるファイルを格納する場合は、元のファイルを5GB未満のセグメントに分割してアップロードする必要がある。
 「Storage Cloud Service – Archive Storage」は、オブジェクトストレージとしての機能は同一だが、データ保管やバックアップ向けに特化しておりlデータのリストアに最大4時間かかる場合がある。
 「Oracle Storage Cloud Software Appliance」はOracle Storage Cloud Serviceに対するNFS接続を提供するDockerイメージのソフトウェアアプライアンスだ。無償で提供され、ソフトウェアのライセンス費用はかからない。Oracle Linux と Docker環境のある標準サーバーにインストールすることで、NFSプロトコルでOracle Storage Cloud Serviceを利用できるようになる。Oracle Cloudとの通信は暗号化され、データの暗号化に使用される鍵は自社で管理できる。データキャッシュにより、アクセス頻度の高いデータをローカルにキャッシュすることでレスポンスを高速化する。エンド・ツー・エンドのチェックサム検証によってデータの整合性が保証され、クラウドへの定期的なメタデータ・バックアップによってデータの可用性を向上させることができる。
 「Oracle Database Backup Service」は、オンプレミスまたはクラウド上のOracle DatabaseをOracle Cloudへバックアップするサービスだ。ポリシーに従って、日次データは増分のみを保管し、週次でフルバックアップを行うといったオンプレミスに近いバックアップ運用が可能だとしている。データは暗号化・圧縮・三重化されて保管される。スケジューリング、モニタリング、管理のためのGUIツールが提供される。

使いやすさ

Compute Cloud 同様にStorage Cloud Serviceも日本語化されたコンソールに統合されている。しかしながら、オブジェクトの作成やデータのアップロードなどの操作は、グラフィカルなインタフェースは提供されず、基本的にコマンドかプログラムからの操作となる。

マニュアルや書籍など

OracleによってWebコンテンツやマニュアルは日本語化されているが、ホワイトペーパーなど英語のままのものも多い。英語のものも含めてネット上の情報が少ない。

拡張性

コンテナーと呼ばれる単位でデータを管理し、割当て制限を指定しないかぎり、無制限の数のデータオブジェクトを保持できる。1つのオブジェクトのサイズは、最大5GBまでで、5GBを超えるファイルを格納する場合は、元のファイルを5GB未満のセグメントに分割してアップロードする必要がある。

可用性

データは同一データセンター内の別マシンで三重に複製される。ジオレプリケーションにより地理的に離れたデータセンターへのデータ複製が可能。自己回復機能による定期的なデータ整合性チェックが行われる。Oracleの新しいベアメタルクラウド「Oracle Bare Metal Cloud Services」は、AWSのAZ同様の3つのデータセンターを使うアーキテクチャになっているので、Storage Cloud Serviceでも同様のアーキテクチャに拡張されることを期待したい

SLA

明確なSLAの規定はない

自動化機能

OpenStack Swift互換のRESTful API、またはJavaライブラリ、コマンドインタフェースによるShellスクリプトなど、さまざまなプログラムからデータの操作ができる。

セキュリティ

役割ベースのアクセス制御により、ユーザーに対して管理、読取りおよび書込みの権限を制御できる。オプションのクライアント・データ暗号化、データ・センターでのオプションの暗号化を組み合せセキュリティを強化できる。通信はSSLで暗号化される

データセンターの場所

北米を中心に、グローバルのデータセンターでクラウドサービスを運用している。昨年、2015年内に日本にもデータセンターを開設すると発表されたが、2016年11月の時点ではオープンしていない。

実績・シェアなど

導入社数やシェアなどは特に公開していない。

エコシステム

現時点で、Oracle Storage Cloud Service のエコシステムは初期段階であり、今後の拡充を期待したい。

価格および支払い方法

Storage Cloud Service – Object Storage は、最初の1TBまで、月額で$0.024/GB。Storage Cloud Service – Archive Storage は、月額で$0.001/GB。データ容量が増えると割引される。データ転送とAPIリクエストについても課金される。参考までにAWSの東京リージョンのS3が月額で$0.033/GB、アーカイブ用のGlacierが月額で$0.0114 /GB。