クラウド図鑑 Vol.70

概要

HubSpot (ハブスポット)は、2006年に創業し、ボストンに本社を置くマーケティングオートメーション(MA)のクラウドサービス「HubSpot Maketing」を提供する企業だ。2014年10月には、ニューヨーク証券取引所に上場し、2016年の時点で、世界95カ国以上で18000社以上に利用されている。HubSpotのサービスは、CEOブライアン・ハリガンと共同創業者のダーメッシュ・シャアの共著「インバウンド・マーケティング」のマーケティング手法を取り込んでおり、「Tofu」と呼ばれるマーケティングの上流プロセスの支援機能、特に、ブログやランディングページを含むコンテンツ作成(CMS)の機能が充実しているのが大きな特徴である。マーケティングオートメーションの分野は、SFAやCRMと比較して歴史が浅く、現在は未導入の企業も多いが、HubSpotは、競合する Marketo や Oracle Marketing Cloud と比較してエントリー版が低価格(月額24000円〜)であり、簡単に1ヶ月の無償トライアルができるので、敷居が低く、特にインバウンドマーケティングを指向する企業が検討しやすいだろう。また、HubSpotで収集した見込み客に対して電話によるセールスを行うようなアウトバウンド向けの機能を持つ「Hub Spot CRM」のサービスを無償で提供しており、マーケティング部門だけでなく営業部門までをHubSpotのサービスで支援できるようになっている。

HubSpotの画面例
hubspot
(クリックで拡大)

URL   http://www.hubspot.jp/
2016年8月24日 株式会社クラウディット 中井雅也

機能

Webコンテンツやブログの制作、Webフォームによるリード/見込み客の獲得、スコアリング、メール配信、ナーチャリング(育成)、分析など、現代的なデジタルマーケティングに必要な機能をオールインワンで提供する。また、SalesforceなどのCRMと連携することができる。

  • ブログの作成、投稿管理など
  • SEO (検索エンジン最適化) 、キーワードのリサーチ、トラッキングなど
  • SNSへの投稿、インタラクションのモニタリングなど
  • Webサイト構築のためのCMS機能、モバイル対応、パーソナライゼーション
  • リード管理、タイムラインによるコンタクト履歴表示、スコアリングなど
  • CTA (Call To Action) の作成、管理など
  • ワークフローによるオートメーションなど
  • メール配信、HTMLメールの作成、配信管理など
  • 分析、ダッシュボード、レポーティングなど
  • CRMとの連携、Salesforceとの双方向の自動同期など

使いやすさ

わかりやすい画面で直感的に操作ができる。ただし、2016年8月現在では、画面は日本語化されているが「ベータ」としての位置づけとなっている。また、他のマーケティングオートメーションのサービスやソフトウェアに共通することだが、「リード」「ナーチャリング」「ペルソナ」などのデジタルマーケティングの用語や手法を知っている必要がある。

マニュアルや書籍など

2016年8月現在では、HubSpotの主要機能のマニュアルは日本語化されているが、一部機能については日本語化されていない。Webサイトの多くのコンテンツとブログも日本語で提供されている。HubSpotのコンセプトの源流となる「インバウンド・マーケティング」の書籍も日本語で出版され販売されている。

拡張性

拡張性に関するアーキテクチャーは明らかでないが、導入実績のある18000社に対して、Webのホスティングやデータベース、分析系のサービスを安定して提供している。HubSpotのインフラは、複数拠点の、AWS、および、Rackspaceのデータセンターに構築したOpenStackのハイブリッドな構成となっている。サーバーインスタンスは、迅速かつ自動的なプロビジョニングによる拡張と縮小が可能で、必要に応じて数分以内で追加・削除ができるという。Akamaiによるコンテンツデリバリーネットワーク(CDN)と、ウェブアプリケーションアクセラレータ(WAA)を、追加費用なしで利用できるためHubSpotのコンテンツへの高速なアクセスが期待できる。

可用性

HubSpotのインフラは、複数拠点の、AWS、および、Rackspaceのデータセンターに構築したOpenStackのハイブリッドな構成となっている。電源やネットワークなどは物理的にN+1の冗長構成をとり、データベースやアプリケーションサーバー、Webサーバーなどの複数のフェールオーバーインスタンスにより単一障害点からのサービス停止を防ぐ。実績値として99.99%のアップタイムを実現しているという。また、顧客のデータはスナップショットとともに複数のオンラインのレプリカにバックアップされる。

SLA

SLAの規定は特にない。実績値として99.99%のアップタイムを実現しているという。

自動化機能

HubSpotはSaaSのサービスとして提供され、利用者が管理や運用のタスクを意識することはない。アプリケーションの各種のデータにAPIでアクセスできる。

セキュリティ

AWSとRackspaceのデータセンターの物理セキュリティを踏襲する。SOC2 Type IIのレポートを取得し、ISO27001に準拠している。通信はTLSで暗号化される。脆弱性のスキャンを行い、また、外部の会社による監査も行っている。各種ログを取得し分析をしている。セキュリティチームの24時間監視、ウェブアプリケーションファイアウォールのレポートなどにより、HubSpotのサイトを脆弱性や攻撃から防御している。

データセンターの場所

米国のAWSの複数データセンター、および、米国のRackspaceの複数データセンターからサービスを提供している。

実績・シェアなど

95ヶ国以上で18000社以上に利用されている。国内ユーザーも増加しつつあり、およそ200社に採用されているという。

エコシステム

グローバルで4000以上のパートナーが代理店としてHubSpotのサービスを販売している。国内では、マーケティングエンジン、24-7、リードプラス、ハイベロシティなどが販売やコンサルティングなどを行っている。

価格および支払い方法

機能別に提供される3つのエディションで価格が設定され、別途コンタクト数に応じた追加の料金が発生する。課金設定は月額だが、請求はすべて年額となる。基本機能と100コンタクトまでの「Basic」が月額24000円。コンテンツ、リード管理、ワークフローの機能が強化され1000コンタクトまでの「Professional」が月額96000円。高度なセグメンテーションやスコアリング、売上や企業のレポートの機能を追加され10000コンタクトまでの「Enterpirise」が月額288000円。アドオンの「Webサイト」が月額35000円。「レポート」が月額25000円。「広告」が月額12500円。