クラウド図鑑 Vol.64

概要

Rescale は、サンフランシスコに本社を置く、2011年に設立した企業で、HPC (High Performance Computing ) に特化したクラウドサービス「ScaleX」を提供している。その最大の特徴は、HPCの処理を加速させる「GPU (Graphics Processing Unit)」や、計算ノード間の高速なインターコネクトのための「InfiniBand」のようなハードウェアを備えていることと、120種類以上におよぶ解析や科学技術計算、CAE、AIなどのソフトウェアをSaaSとして提供していることだ。これにより、計算処理のためのデータを用意すれば、30拠点以上のデータセンターから提供する800万台以上のサーバーによる1400ペタFLOPSにおよぶ計算リソースを利用して、従量課金/オンデマンドでHPCの処理が可能になる。当然ながらハードウェアやソフトウェアの調達の時間とが大幅に短縮され、また、構成次第ではあるが計算処理の時間も大幅に短縮することが可能だ。

Rescaleのコンソール画面
rescale
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URL   http://www.rescale.com
2016年7月7日 株式会社クラウディット 中井雅也

機能

機能やサポートレベルの違いによって、SMB向けの「ScaleX Pro」、エンタープライズ向けの「ScaleX Enterprise」、ISV向けの「ScaleX Developer」の3つのグレードのクラウドを提供する
これらの3つのグレードに共通で以下を提供する。
・30拠点のデータセンターから提供する800万台以上のサーバーによる1400ペタFLOPSにおよぶ計算リソース
・GPU やInfiniBandのようなHPC向けのハードウェア
・120種類以上の解析や科学技術計算、CAE、AIなどのソフトウェア
・リモートデスクトップとビジュアライゼーション機能
・エンジニアやサイエンティストのためのワークフロー機能
・GUIおよびバージョン管理の機能を持つファイル管理機能
・エンドトゥエンドのデータ暗号化やクラスターの分離などのセキュリティ

ISV向けの「ScaleX Developer」では外部アプリとの連携のためのAPIを提供し、エンタープライズ向けの「ScaleX Enterprise」では、同じく外部アプリとの連携のためのAPIに加えて、IT Administration Portalと、オンプレミスのHPCリソースやスケジューラーとの統合のための機能、包括的なライセンス管理の機能が提供される。

2016年7月時点でRescaleで利用できるHPC向けソフトウェアは以下のようなものがある。またリストにないソフトウェアの持ち込み(BYOL)も可能。

  • 6SigmaET
  • 6SigmaRoo
  • 6SigmaRoomLite
  • Abaqus
  • Abaqus CAE
  • ADINA
  • Aermod
  • AMBER
  • Autodock & AutoDock Vina
  • AVL EXCITE
  • AVL FIRE
  • AVL FIRE GUI
  • AVL FIRE M
  • AVL FIRE M GUI
  • BLAST+
  • Blender
  • BOXERMesh
  • Caffe
  • Calculix
  • CALMET
  • Calpuff
  • Cart3D
  • CASE Piston
  • CASE Ring
  • CFD++
  • Chainer
  • Chimera
  • CLC Assembly Cell
  • Code_Aster
  • COMSOL Multiphysics
  • COMSOL Server
  • CONVERGE
  • CONVERGE Studio
  • Cradle SC/Tetra
  • Cradle scStream
  • Crunch CFD
  • Custom User-Defined MPI Software
  • Custom User-Defined Software
  • Custom User-Defined Windows Software
  • EDEM
  • EnSight
  • EXA PowerFlow
  • FE-SAFEFire Dynamics Simulator
  • GAMESS (US)
  • GeoDict
  • Gerris
  • GPAW
  • GROMACS
  • GT-SUITE
  • Helyx
  • HMMER
  • iCaffe
  • Intel MPI Compiler
  • iTorch
  • Julia
  • Keras
  • LAMMPS
  • LIGGGHTS
  • LS-DYNA
  • LS-PREPOST
  • MADYMO
  • Matlab
  • MEEP
  • Mental Ray®
  • Moldflow
  • MrBayes
  • MSC ADAMS
  • MSC Marc
  • MSC Nastran
  • NAMD
  • Nexus Suite Reservoir Simulation
  • NLopt
  • Nolearn
  • NUMECA FINE/Marine
  • NUMECA FINE/Turbo
  • NWChem
  • NX Nastran Advanced
  • NX Nastran Basic
  • NX™ CAE
  • NX™ Flow
  • NX™ Thermal
  • OpenEye OMEGA
  • OpenEye ROCS
  • OpenFOAM
  • OpenMC
  • OpenMOC
  • ParaView
  • PETSc & SLEPc
  • PTC Creo Simulate
  • PyFR
  • Pylearn2
  • PyMBAR
  • Quantum ESPRESSO
  • R
  • RadTherm
  • RenderMan Pro Server
  • Ricardo VECTIS
  • Ricardo WAVE
  • Ricardo WAVE RDM
  • Shipflow
  • Stanford University Unstructured (SU²)
  • STAR-CCM+
  • STAR-CCM+ GUI
  • TensorFlow
  • tNavigator
  • Torch7
  • VA One
  • Virtual Performance Solution
  • VisIt
  • VMD
  • VMoveCAE
  • VR&D GENESIS
  • Weather Research and Forecasting Model (WRF)
  • XFlow

 

使いやすさ

ビジュアルで使いやすいコンソール画面を提供している。画面は日本語化されている。データの準備、ソフトウェアの選択、ハードウェアの選択、ポスト処理などをコンソールからビジュアルに操作できる。

マニュアルや書籍など

チュートリアルやAPIリファレンスガイドなどさまざまなドキュメントをRescaleが提供している。しかしながら、2016年7月時点では英語での提供となる。

拡張性

800万台以上のサーバーによる1400ペタFLOPSにおよぶ計算リソースを提供する。一般的なインテルのCPUに加えてNvidiaのGPUや、Infinibandによる高速・低遅延のインターコネクトで処理を高速化できる。

可用性

複数のデータセンターからサービスを提供することでアプリケーションとデータの冗長性を確保している。システムコンポーネントもN+1の冗長性を持つ。中断のない電源バックアップシステムを備える。火災や洪水からストレージサイトは保護される。

SLA

年間99%のアップタイムをSLAで規定。

自動化機能

Web APIを駆使して、さまざまな管理タスクをプログラムで自動化できる。

セキュリティ

バイオメトリック認証と24時間体制の警備つきの堅牢なデータセンターによって物理セキュリティを高めている。通信は256ビットAESで暗号化される。SOC2 Type IIのレポートを取得しており、また、ITAR(International Traffic in Arms Regulations) にも準拠している。

データセンターの場所

Rescaleのクラウドの実体は、AWS, Azure, SoftLayer、RackSpaceなどで、世界30拠点以上のデータセンターからサービスを提供している。国内にも3拠点のデータセンターがある。

実績・シェアなど

数百社に利用されており、RescaleのWebサイトでは、Pinnacle Engines、Trek、Aerospace、TEN TECHなどの事例が紹介されている。

エコシステム

HPC系ソフトウェアベンダーと協調して120種類以上のソフトウェアをSaaSとして利用できるようにしている。日本では伊藤忠テクノソリューションズとCAEソリューションズがパートナー契約を締結して販売を行っている。

価格および支払い方法

使用するハードウェアやソフトウェアの組み合わせによって価格が変動するので見積もりが必要になる。参考価格としては、Intel Xeon E5-2680 v2 (Ivy Bridge)/1コア/3.8GBメモリー/40GBストレージのハードウェアが1時間あたり29円。支払いは基本的にクレジットカードになる。