クラウド図鑑 Vol.62

概要

SendGrid は、2009年に設立し、コロラド州デンバーに本社を置きクラウド型のメールサービスに特化しているプロバイダーだ。実はメール送信のためのSMTPサービスを提供しているクラウドプロバイダーは少なく、AWSであれば「Amazon SES (Simple Email Service)」を提供するが、Azure、IBM、Googleでは独自SMTPのサービスは提供せず、SendGridが事実上の推奨SMTP/メール配信サービスとなっている(GoogleではGoogle Appsを使う方法もあるが送信数など制約が多い)。SendGridの最大の特徴は、SMTPインタフェースだけでなく、Web APIを提供しており、アプリからメール送信やリスト管理、統計情報の取得など、メール関連のさまざまな操作ができることだ。さまざまなプログラミング言語から利用できるAPIによってクラウドネイティブなアプリケーションと相性がよいことから、SendGridは、UberやAirbnbといったデジタルビジネス企業や上記のような主要クラウドプロバイダーに多く採用されている。一方で、インフラ面でも、自社運用のSMTPサーバーでは困難な大量のメールを配信できる性能とスケーラビリティを提供するとともに、マネージドサービスとして管理や運用を気にする必要は一切ない。SendGridによれば、2016年4月時点で1日あたり10億通以上のメール配信を行っているという。

SendGridのダッシュボード
sendgrid
(クリックで拡大)

URL   http://www.sendgrid.com
2016年6月22日 株式会社クラウディット 中井雅也

機能

トランザクションメールの機能により、SMTPでのメール送信、および、Web APIを経由して、アプリからメール送信やリスト管理、統計情報の取得など、メール関連のさまざまな操作ができる。Web APIはREST的なものだが、SendGridはこれを「RESTfulではない」という。プログラミング言語は、PHP、Python、Go、Node.js、Ruby、C#などが使える。

マーケティングメールの機能により、ユーザーがブラウザからの操作でメールを作成し配信を行うことができる。
大量配信をするときに確実にメールを届けるためのISPモニタリングやDKIM、SPFなどの機能を提供する。独自ドメインや固定IPアドレスも使用可能。
配信メールの分析機能を提供し、配信、開封、クリック、バウンス、ブロック、スパム報告などの状況をモニタリングおよびレポートできる。
既存メールサーバの中継をするリレーサーバーとしても利用できる。
日本語文字コードの対応や日本の携帯キャリアメールにも対応している

使いやすさ

サービスはコンソールに統合され、画面から基本設定やマーケティングメールの作成を行うことができる。ただし画面は英語である。メール配信のヒストリーや配信状況がダッシュボードに表示される。全体的に開発者にとって使いやすいサービスになっている。

マニュアルや書籍など

SendGridによってマニュアルやチュートリアルが用意されている。SendGridの日本のパートナーである構造計画研究所によって主要なドキュメントは日本語化されている。

拡張性

拡張性に関するアーキテクチャなどは公開されていないが、定額メニューで月間70万通のメール配信が可能で、それ以上でもカスタム対応が可能。SendGrid全体では8万のアクティブ顧客を持ち、1日10億通のメール配信というスケールでサービスを提供している。

可用性

可用性に関してもアーキテクチャなどは明らかでないが、データセンターのレベルで冗長化されており、ひとつのデータセンターが使用不可になっても他のデータセンターでサービスを継続できるという

SLA

SLAは特に規定していない。

自動化機能

APIでメール配信の運用タスクを自動化できる。マネージドサービスとして、インフラの運用、ソフトウェアのメンテナンスなどを意識することはない。

セキュリティ

堅牢なデータセンターのセキュリティで物理セキュリティを高めている。ソフトウェアは定期的な脆弱性のスキャンを行っている。アプリケーションはTLSによる暗号化を行い、定期的なパッチ適用を行っている。EUのSafe Harbor規格に準拠している。

データセンターの場所

歴史的にAWSやSoftLayer、自社がホストするデータセンターなど、複数のファシリティを組み合わせてサービスを運用しているが、場所などは明らかにされていない

実績・シェアなど

SendGrid全体では8万のアクティブ顧客を持ち1日10億通のメール配信を行っている。グローバルではUberやAirbnbなどが、日本では企業向けチャットサービスのチャットワークなどが利用している。

エコシステム

クラウドプロバイダーでは、Microsoft, Google, IBMが連携しており、日本ではIDCフロンティアも提携してサービスを提供している。構造計画研究所が日本での販売やサポート、日本語コンテンツの提供を行っている。Web APIを介して、さまざまなサードパーティのソフトウェアと連携できるようになっている。

価格および支払い方法

無料枠では月間12000通までのメール配信が可能で期限もない。料金体系が変更され、無料枠が2016年3月31日以降は提供されなくなった。これを超えるとEssentialプランとなり、月間40000通まで月額9.95USドル、月間100000通までは月額19.95USドル。さらにIPアドレスを固定するProプランでは、月間100000通まで月額79.95USドル 月間300000通までは月額199.95USドル、月間70000通までは月額399.95USドル。これを超えるとカスタムのプランとなる。支払いはUSドルでクレジットカード。