クラウド図鑑 Vol.56

「 Cloud Foundry 」はPaaSの基盤を構築するためのオープンソースのソフトウェアである。IaaSのためのオープンソースのソフトウェア「 OpenStack 」と同様に、PaaS構築のためのソフトウェアとして標準的な存在になりつつある。初期の頃は VMWare社が開発を行っていたが、EMC社とVMWare社によって設立されたPivotal Software社のガバナンスを経て、2014年12月に、Pivotal、EMC、VMWare、IBM、HP、SAP、NTT、Fujitsu等50社以上(2016年4月時点)が参加する Cloud Foundry Foundationに移管された。 Cloud Foundry Foundationによる認定プロバイダー (Certified Provider) としては、IBM, HP, SAP, CenturyLink, Huawei, Swisscom, Pivotal など7社がWebサイトに名前を連ねるが、他にも GE Predix や NTTコムの Cloud n PaaS、富士通のK5 などが Cloud Foundry ベースの PaaS である。Cloud Foundryの特徴は主に3点で、1) ベンダー中立でロックインがないこと 2) 動作環境を選ばず、複数のIaaS (AWS, Azure, IBM, NTTコムなど)や仮想化基盤(VMware)などを利用できること 3) 拡張性の高いアーキテクチャによって、好みの開発言語やデータベースなどの追加・拡張して独自のPaaSとしてカスタマイズしやすいこと があげられる。この特徴によりCloud Foundryをベースとして、IBMであればSoftLayerのクラウド上でIoTやWatsonのサービスを追加して「Bluemix」を、SAPであればHANAのデータベースと分析機能を追加して「SAP HANA Cloud Platform」を提供するといった自社の強みと戦略にあわせたPaaSのサービスを実現しやすい。この柔軟性が幅広いベンダーに Cloud Foundry が支持される理由だと考えられる。技術者の観点からも、各社のサービスの細かいところに差異はあるが、概ね「 Cloud Foundry 」系としてアーキテクチャや操作性に共通点があり、オープンソースであるために、クラウドの標準的技術として取り組みやすい。なお、Pivotal社からは、 Cloud Foundry のサポートを含むエンタープライズ向けディストリビューション「Pivotal CF」も提供されており、一般企業のプライベートPaaS環境にも有力な選択肢となるだろう。

Cloud Foundryのアーキテクチャ図
cloud foundry

https://www.cloudfoundry.org/
2016年4月27日 株式会社クラウディット 中井雅也

機能

Cloud Foundry のソフトウェア単体ではクラウドのサービスではない。このソフトウェアをデータセンターのハードウェアに導入し、稼働させ、主にPaaSのサービスとして提供することになる。サービスの中に組み込まれるOSやミドルウェア、また仮想化の基盤(ハイパーバイザー)などは Clound Foundry とは別に調達する必要がある。 Cloud Foundry が提供するのはPaaSのインフラのための、以下のような主要機能(コンポーネント)である。
・開発者が使うプログラミング言語環境 (Runtime)
      Java, Ruby, Node.js, Scala, Python, PHP, GOが基本的なプログラミング言語
・上記のRuntimeの実行基盤を準備するためのしくみ (BuildPack)
・アプリケーションの配備などを行うためのコマンドラインインタフェース (cfコマンド)
・Cloud Foundryへのトラフィックを適切なコンポーネントに仕向けるルーター (Router)
・認証 (OAuth2 Server, Login Server)
・アプリケーションの配備、コーディネート、スケジューリングなど  (Cloud Controller, Diego Brain)
・アプリケーションのモニタリングと必要に応じたStart/Stopなどの管理 (nsync, Converger, Cell Reps, v2においてはHealth Manager)
・バイナリーファイルのストレージ (Blob Store)
・コンテナーの起動/終了などの管理 (Diego Cell, v2ではDEA)
・データベースなどのバックエンドサービスのブローカー (Service Brokers)
・コンポーネントの内部通信 (Consul, BBS, v2ではNATS Messsage Bus)
・統計数値とログの収集 (Metrics Collector, Loggregator)
2016年4月現在、多くのPaaSサービスが提供しているのはCloud Foundryの「v2」が主流であり、独自のコンテナー(Warden)をコントロールする「DEA (Droplet Execution Agent)」を中心としたアプリケーション実行アーキテクチャである。しかしながら、2014年3月から開始された新しいアプリケーション実行コンポーネント「Diego」によって、Docker Imageにも対応できるコンテナー(Garden)と、それをコントロールするコンポーネント(Cell)による新しい実行アーキテクチャに移行しているところである。Pivotal社が2015年11月に提供した「Pivotal CF 1.6」で「Diego」を実装し、.NETアプリケーションをWindows Server 2012 R2仮想マシンでネイティブにサポートし、Dockerイメージをベータとしてサポートする。Dockerイメージのサポートにより、スケジューリングやヘルスチェック、ロードバランスなどPivotal CFが持つ機能を Docker ベースのアプリケーションで利用できるようになる。

使いやすさ

本来の Cloud Foundry の操作はcfコマンドラインインターフェースが基本である。GUIは Cloud Foundry ベースのクラウドやサービスを提供する各社によって提供されているが、各社各様であり、日本語化状況などもまちまちである。しかしながら、コマンドの使い方や考え方に慣れれば、 Cloud Foundry 系のサービスでは共通の操作や管理が可能になる。また、どうしても日本語のドキュメントやGUIにこだわるのであれば、例えばNTTコムのCloud n PaaSのような国産のサービスを選べばよいだろう。

マニュアルや書籍など

Cloud Foundry Foundation からのドキュメントの多くは、英語のものが多く、また、企業の情報システムというよりはオープンソース的な開発者向けである。しかしながら、どうしても日本語のドキュメントやGUIにこだわるのであれば、例えばNTTコムのCloud n PaaSのような国産のサービスを選べばよいだろう。サポートも含め日本語で対応されるはずである。

拡張性

前述したように、 Cloud Foundry の特徴は主に3点で、1) ベンダー中立でロックインがないこと 2) 動作環境を選ばず、複数のIaaS (AWS, Azure, IBM, NTTコムなど)や仮想化基盤(VMware)などを利用できること 3) 拡張性の高いアーキテクチャによって、好みの開発言語やデータベースなどの追加・拡張して独自のPaaSとしてカスタマイズしやすい ということで、必要に応じて、適切なクラウドサービスやプライベートクラウドでの構築を検討すればよいだろう。

可用性

前項の「拡張性」のように、 Cloud Foundry の特徴は主に3点で、1) ベンダー中立でロックインがないこと 2) 動作環境を選ばず、複数のIaaS (AWS, Azure, IBM, NTTコムなど)や仮想化基盤(VMware)などを利用できること 3) 拡張性の高いアーキテクチャによって、好みの開発言語やデータベースなどの追加・拡張して独自のPaaSとしてカスタマイズしやすい」ということで、必要に応じて、適切なクラウドサービスやプライベートクラウドでの構築を検討すればよいだろう。

SLA

Cloud Foundry そのものはソフトウェアであるためサービスのSLAはない。

自動化機能

APIによってPaaSインフラをプログラムでコントロールできる。

セキュリティ

基本的に内部の通信はHTTPであり、暗号化通信(SSL)でセキュリティを高めることができる。最終的なクラウドサービスのトータルなセキュリティは、データセンターなどの物理ファシリティやソフトウェアのアップデートや運用スタッフの統制など様々なファクターを考慮して高める必要がある。

データセンターの場所

Cloud Foundry 自体はソフトウェアなので、データセンターの場所は問わない。

実績・シェアなど

Cloud Foundry Foundationによる認定プロバイダー (Certified Provider) としては、IBM, HP, SAP, CenturyLink, Huawei, Swisscom, Pivotal など7社がWebサイトに名前を連ねるが、他にも GE Predix や NTTコムの Cloud n PaaS、富士通のK5 などが Cloud Foundry ベースの PaaS である。

エコシステム

2014年12月に、Pivotal、EMC、VMWare、IBM、HP、SAP、NTT、Fujitsu等50社以上(2016年4月時点)が参加するCloud Foundry Foundationに移管された。Cloud Foundry Foundationによる認定プロバイダー (Certified Provider) としては、IBM, HP, SAP, CenturyLink, Huawei, Swisscom, Pivotal など7社がWebサイトに名前を連ねる。

価格および支払い方法

Cloud Foundry はオープンソースで無償のソフトウェアである。しかしながら、Pivotalによる有償のサブスクリプションは、1ノードあたり2,828.100円/年〜となる。