クラウド図鑑 Vol.55

「Cloud n (クラウド・エヌ)」は、NTTコミュニケーションズ(以下NTTコム)が提供するクラウドサービスで IaaS 、 リレーショナルデータベースのマネージドサービス などとともに、アプリ開発のための PaaS のサービスを提供している。クラウドアプリケーション開発用のPaaS基盤として標準的になりつつあるオープンソースソフトウェアの「Cloud Foundry」をベースとしており、Cloud Foundry、あるいは、他のCloud FoundryベースのPaaSの開発や運用のスキルを活用できる。2016年4月の時点で、Cloud Foundry を運営する「 Cloud Foundry Foundation 」には、50社以上の企業が参加しており、認定プロバイダー (Certified Provider) としては、IBM, HP, SAP, CenturyLink, Huawei, Swisscom, Pivotal などの7社が名前を連ねるが、他にもGE Predix や 富士通のK5 なども Cloud Foundry ベースのPaaSを提供する。NTTコムの Cloud n PaaS は、Cloud Foundry との互換性を維持しながら、ロードバランサーを使った負荷分散によるスケーラビリティや、複数のデータセンターと Cloud n の「RDB」データベースサービスを使った冗長化による高可用性により、クラウドネイティブなアプリケーションに対して、堅牢でスケーラブルなインフラを提供できることが特徴である。

Cloud n PaaS 設定画面
Coud n PaaS Portal
(クリックで拡大)

URL  http://www.cloudn-service.com/
2016年4月20日 株式会社クラウディット 中井雅也

機能

 オープンソースソフトウェアの「Cloud Foundry」のv2をベースとしたPaaS環境であり、利用者は、OS、アプリケーションサーバーなどのミドルウェア、ネットワークなどの環境構築や保守、運用を気にすることなくアプリ開発に専念できる。パッチの適用やアプリケーションの起動状態を気にする必要はなく、日本語のポータル画面から簡単に設定や拡張ができる。
 開発言語は、Java、Ruby、PHPが使用できる。Javaは、Oracle Java 7, Oracle Java 8のJRE、アプリケーションサーバーはTomcat 7が使え、Spring, Play, Grailsフレームワークが使える。Rubyは2.1系や2.2系が使え、フレームワークはRails, Sinatra, Rackが使える。PHPは5.4と 5.5が使える。HTMLやCSS、画像といった静的コンテンツのみをNginxのWebサーバーで提供することもできる
 GitHub連携機能により、GitHubリポジトリから直接アプリケーションをデプロイすることができる。
 スケールアップとスケールアウトによる拡張が可能で、アプリケーションのインスタンスは、128MBメモリーから最大4GBメモリーまでスケールアップ/ダウン、インスタンス数を1から20までスケールアウトすることができる。
 複数データセンターを使うMulti-AZ 構成に対応しており、アプリケーションを任意のゾーンに配置することが可能。Cloud n のデータベースサービス「RDB」も複数ゾーンを使った冗長化と自動フェイルオーバーによりアプリケーションの可用性を高めることができる。
 データベースは、無償の開発用Built-inサービスとしてMySQL 5.5とPostgreSQL9.2が使用可能だが、高可用性が求められる実行環境には、Cloud n のRDBサービスを利用するか、または、独自にCloud n Computeにデータベースを構築する
 Cloud Foundryで使われるクライアントのCLIツール「cfコマンド」のNTTコム版ともいうべき「gud」でアプリケーションのデプロイなどのさまざまな操作を行う。言語環境の「BuildPack」やミドルウェア環境の「サービス」などのアーキテクチャはオリジナルのCloud Foundryと同様である。
 Cloud n の データベースサービス「RDB」、Computeの仮想サーバーや Object Storageとの組み合わせ、連携が可能。
 SSLによる通信の暗号化とIPアドレスベースのアクセス制御が可能。また、アプリケーションのログの監視ができる。
 ポータルからリソースの利用状況や、メモリー使用率およびURLからの戻り値によるアプリケーション監視が可能

使いやすさ

日本語のポータル画面からインスタンスやサービスの設定などの操作ができる。アプリケーションのデプロイなどはgudコマンドツールからの操作が中心となる。

マニュアルや書籍など

NTTコミュニケーションズによって、主要な情報やマニュアルなどは全て日本語で提供されている。Cloud n PaaSは、ベースとなっている Cloud Foundry と互換性が高いため、Cloud Foundryのアーキテクチャや用語(ランタイム、サービス、ビルドパック)、cfコマンドツールの使い方などを学んでおくと理解がはやい。

拡張性

スケールアップとスケールアウトによる拡張が可能で、アプリケーションのインスタンスは、128MBメモリーから最大4GBメモリーまでスケールアップ/ダウン、インスタンス数を1から20までスケールアウトすることができる。

可用性

複数データセンターを使うMulti-AZ 構成に対応しており、アプリケーションを任意のゾーンに配置することが可能。Cloud n のデータベースサービス「RDB」も複数ゾーンを使った冗長化と自動フェイルオーバーによりアプリケーションの可用性を高めることができる。

SLA

2016年4月の時点でSLAはない

自動化機能

アプリケーションのデプロイや変更、削除、サービスの作成、変更、削除などをgudコマンドで操作しスクリプトなどで自動化できる。

セキュリティ

SSLによる通信の暗号化とIPアドレスベースのアクセス制御が可能。また、アプリケーションのログの監視ができる

データセンターの場所

Cloud n の「PaaS」のサービスは東日本リージョンのみでの提供となる。

実績・シェアなど

明確なシェアなどの数値はないが、NTTコミュニケーションズが、製造、サービス、情報・通信、公共・教育、卸売・小売、金融・保険、建設・不動産、医療・福祉、メディア、運用、農林・水産など多岐にわたる国内事例を公開している。

エコシステム

NTTコミュニケーションズのパートナーソリューションプログラム(PSP)によって、エコシステムを拡大中

価格および支払い方法

従量課金で、かつ、上限の設定ができる。インスタンスは、128MBメモリーで1時間あたり1円/月額上限500円〜4GBメモリーで1時間あたり28.8円/月額上限14400円。SSLオプションが1証明書ごとに月額2000円、ログ監視オプションが10監視条件ごとに月額1000円。基本的にクレジットカードでの支払いとなる。