クラウド図鑑 Vol.53

「 Cloud n (クラウド・エヌ)」は、NTTコミュニケーションズが提供するクラウドサービスで IaaS 、 PaaS とともに、さまざまな ストレージサービス も提供している。仮想サーバー「Compute」の基本ストレージは使用料に含まれるが、大容量データの保管には別途有償の「データディスク」や、Amazon S3 ライクな「Object Storage」、あるいは、NFSベースのファイルサーバーの「File Storage」のサービスを提供している。この中で注目度が高いのがAmazon S3と高い互換性を持つ「Object Storage」だ。 Cloud n  全体としてもIaaS基盤ソフトウェアの「Cloud Stack」によってAWSと互換性のあるAPIを提供しているが、オブジェクトストレージでは S3互換の Software Defined Storage として、国内でもニフティなどクラウドプロバイダーで実績の高い「Cloudian」を採用し、高い互換性とS3とほぼ互角の堅牢性を実現している。 Cloud n  全般の特徴でもあるが、データ転送が無料であるため、コンテンツ配信などのデータ転送量の多い使い方においては、S3よりコストを抑えることが可能である。

Cloud n 「Object Storage」の設定画面
Cloud n Object Storage
(クリックで拡大)

URL  http://www.cloudn-service.com/
2016年4月6日 株式会社クラウディット 中井雅也

機能

 仮想サーバー「Compute」のサービスでは、基本の不揮発性ルートディスク(Linux15GB、Windows40GB)は料金に含まれ40GBまでは無料である。大量のデータを使用する場合は、別途有償で最大1TBの「データディスク」をインスタンスあたり5台まで、アカウントあたり500個まで使用できる。データディスクは仮想サーバー間で取り付け取り外しが可能。
 さらに大容量のデータのためのストレージ環境が、Amazon S3互換の「Object Storage」である。最大5TBのオブジェクトを容量無制限に格納が可能で、Amazon S3互換のREST APIによってHTTPおよびHTTPS経由でデータにアクセスをする。クライアントは、S3のアクセスに使用する一般的な「S3cmd」などのツールが使用可能だ。複数データセンターにまたがった3分散のデータ保管による冗長化によって、99.999999999%の堅牢性と99.9%のSLAを実現しており、スペック的にはS3とほぼ互角である。
 仮想サーバーの標準機能として、スナップショットを作成し簡易的なバックアップが可能だが、データのバックアップの有償サービスとして「Backup Advanced」が提供されており、OSのファイルを自動でバックアップしリモートのデータセンターに保管できる。
 NFSベースのファイルサーバーのサービスが「File Storage」である。テラバイト単位の大容量データのためのサービスで、契約も最低10TBからとなり、アーカイブやバックアップの用途を想定している。Object Storage同様に複数データセンターにまたがるデータの分散保管で99.999999999%の堅牢性を実現。通信はIPSecにより暗号化される。クライアントは、Cloud n のLinux OS (Cent OS/Ubuntu)がサポートされるが、このサービスは東日本のデータセンター限定である。

使いやすさ

日本語のポータル画面から導入・設定などの操作ができる。日本で開発されたサービスだから当然だが、自然な日本語になっており、海外のクラウドサービスにある言葉の違和感が全くなく、操作性も考えられていて使いやすい。

マニュアルや書籍など

NTTコミュニケーションズによって、主要な情報やマニュアルなどは全て日本語で提供されており、内容も図や画面例などが多くわかりやすい。またFAQや技術者用のブログなど情報は全般的に充実している。

拡張性

Computeに外部ストレージ相当のデータディスクは最大1TBで5個まで使用可能。Object Storageでは、最大5TBのオブジェクトを容量の上限なく使用可能。File Storageもテラバイトクラスの容量を想定している。

可用性

Object Storageでは複数データセンターにまたがった3分散のデータ保管による冗長化によって、99.999999999%の堅牢性を実現している。File Storageにおいても、Object Storage同様に複数データセンターにまたがるデータの分散保管で99.999999999%の堅牢性を実現。

SLA

Object Storageでは99.9%のSLAを提供。File StorageにはSLAはない

自動化機能

Object Storageでは、Amazon S3互換のAPIを提供し、バケット操作やデータオブジェクトの操作、アップロードなどをプログラムで自動化できる。

セキュリティ

Object Storageでは、API認証(DIGEST認証)と、HTTPSによる通信の暗号化が可能。File Storageにおいては、IPSecによって通信が暗号化される。

データセンターの場所

仮想サーバー「Compute」は東日本、西日本、米国のリージョンでサービスを提供しているが、Object Storageは東日本と西日本、File Storageは東日本のリージョンのみでの提供となる。

実績・シェアなど

明確なシェアなどの数値はないが、NTTコミュニケーションズが、製造、サービス、情報・通信、公共・教育、卸売・小売、金融・保険、建設・不動産、医療・福祉、メディア、運用、農林・水産など多岐にわたる国内事例を公開している。

エコシステム

NTTコミュニケーションズのパートナーソリューションプログラム(PSP)によって、エコシステムを拡大中

価格および支払い方法

従量課金で、かつ、上限の設定ができる。仮想サーバーのデータディスクは、40GBで1時間あたり0.8円/月額上限400円〜1TBで1時間あたり20円/月額上限10000円。Object Storageは、最初の10TBまでは、1GBあたり月額8.6円。転送料金は無料。File Storageは10TBごとに1時間あたり375円月額上限18万円。基本的にクレジットカードでの支払いとなる。