クラウド図鑑 Vol.52

「Cloud n (クラウド・エヌ)」は、NTTコミュニケーションズが提供する IaaS と PaaS のクラウドサービスである。仮想サーバー「Compute」や Amazon S3 のようなストレージサービス「Object Storage」、さらに、MySQLベースのデータベースサービス「RDB」、Cloud Foundry をベースとしたアプリ開発のプラットフォームの「PaaS」など、15種類のサービスを提供している(2016年3月現在)。IaaSの部分は、米Citrixのクラウド基盤「CloudStack」をベースとしており、AWS互換のAPIで、ITインフラの構成や運用を自動化できる。さらに、NTTコミュニケーションズらしい特徴としてネットワークの転送料金が無料であり、複数のデータセンターを活用した高可用性と高いSLAを提供しながら、エントリーレベルの仮想サーバーでは月額450円という低価格を実現している。NTTコミュニケーションズの提供するクラウドは、本稿で紹介するAWSライクなセルフサービス型パブリッククラウドである「Cloud n」と、基幹系アプリケーションにも対応できるホステッドプライベートクラウドである「Enterprise Cloud」の2つが主になっている。2016年2月には「Enterprise Cloud」の大幅な機能拡張が発表され、今後の展開が期待される、

Cloud n のポータル画面
Dashboard Cloudn Compute
(クリックで拡大)

URL
http://www.cloudn-service.com/

2016年3月30日 株式会社クラウディット 中井雅也

機能

* 本稿では、主に Cloud n の仮想サーバーを中心とするIaaS機能を中心に紹介する。

 「Compute」のサービスでは、ポータルから仮想サーバーを作成し、数分でデプロイして利用開始できる。HA機能が最初から組み込まれており、障害が発生しても自動フェールオーバーによって仮想サーバーが再起動され、IaaSとしてのサービスは継続する。インスタンスのリソースは、1vCPU/0.5GBメモリーから16vCPU/64GBメモリーまで、最大1TBのディスクを5台まで使用できる。OSは、Cent OS/UuntuのLinuxと、Windowsが利用できる。
Cloud n の大きな特徴として、ネットワークの転送は無料である。また、仮想サーバーにおいても、ネットワークは、通常のパブリックなインターネット接続と、IPSecによる仮想プライベートクラウド、VPNによる仮想プライベートクラウドなど、必要に応じてネットワークセグメントの設計なども含めて柔軟な構成が可能。
  ネットワーク系の有償サービスとしてはネームサービスの「DNS」やコンテンツキャッシュの「CDN」などがある。
 また、有償サービスののロードバランサー「LBA」と「Auto Scaling」の組み合わせにより、高負荷時の自動スケールアップ、あるいは、負荷減少時の自動スケールダウンが可能。
  仮想サーバーの標準機能として、スナップショットを作成し簡易的なバックアップが可能だが、データのバックアップの有償サービスとして「Backup Advanced」が提供されており、OSのファイルを自動でバックアップしリモートのデータセンターに保管できる。
 セキュリティ関連の有償サービスとして、仮想サーバーに対するウイルス、脆弱性を狙った攻撃へ対応可能なセキュリティオプション「Compute Security」を提供している。
  その他にも運用系の有償サービスとして、仮想サーバーの稼働状況・負荷状況の監視をする「Monitoring」、設定ファイル(テンプレート)をもとに一括システム構築をする「Provisioning」、ログ情報を一元収集し、ログ保管・横断検索する「Logging」などが用意されている

使いやすさ

日本語のポータル画面から導入・設定などの操作ができる。日本で開発されたサービスだから当然だが、自然な日本語になっており、海外のクラウドサービスにある言葉の違和感が全くなく、操作性も考えられていて使いやすい。

マニュアルや書籍など

NTTコミュニケーションズによって、主要な情報やマニュアルなどは全て日本語で提供されており、内容も図や画面例などが多くわかりやすい。またFAQや技術者用のブログなど情報は全般的に充実している。

拡張性

仮想サーバーのインスタンスは、最大で16vCPU/64GBメモリーまで、最大1TBのディスクを5台まで使用できる。オプションサービスのロードバランサー「LBA」と「Auto Scaling」を組み合わせて、スケールアウトによる自動的な処理能力拡張と縮小が可能

可用性

HA機能が最初から組み込まれており、障害が発生しても自動フェールオーバーによって仮想サーバーが再起動され、IaaSとしてのサービスは継続する。仮想サーバーを収容する設備が故障した場合にも、HA機能により他の収容設備で仮想サーバーが自動的に再起動される。前述のロードバランサーによるスケールアウト構成や、データベースサービス「RDB」のHA機能などを組み合わせればエンドトゥエンドで高いサービス継続性を実現可能

SLA

仮想サーバーの稼働率を対象とする99.99%のSLAを提供。ただしVPNによる仮想プライベードクラウド(VPCタイプ ClosedNW)は対象外

自動化機能

AWS互換のAPIを提供し、プログラムからインフラの設定や構成をコントロールして自動化が可能。

セキュリティ

セキュリティ関連の有償サービスとして、仮想サーバーに対するウイルス、脆弱性を狙った攻撃へ対応可能なセキュリティオプション「Compute Security」を提供している。これにより、仮想サーバー内のウィルススキャンをリアルタイムまたは定期スケジュールで実施し、セキュリティイベントを検知した場合には、アラートで知らせる。

データセンターの場所

Cloud n Computeは、東日本、西日本、米国のリージョンからサービスを提供している。

実績・シェアなど

明確なシェアなどの数値はないが、NTTコミュニケーションズが、製造、サービス、情報・通信、公共・教育、卸売・小売、金融・保険、建設・不動産、医療・福祉、メディア、運用、農林・水産など多岐にわたる国内事例を公開している。

エコシステム

NTTコミュニケーションズのパートナーソリューションプログラム(PSP)によって、エコシステムを拡大中

価格および支払い方法

従量課金で、かつ、上限の設定ができる。エントリーレベルの1vCPU、0.5GBメモリーの仮想サーバーは月額450円。基本的にクレジットカードでの支払いとなる。