クラウド図鑑 Vol.49

「IBM API Management」は、API管理のソフトウェアとして比較的早い時期に市場投入され、2013年7月から提供が開始された。当初は仮想アプライアンスとして提供されていたが、現在はIBMのPaaS「Bluemix」でもクラウドサービスとして利用できるようになっている。IBMは、APIのプロバイダーやAPI利用者によるビジネス経済圏「APIエコノミー」が、2018年には、2兆2千億ドルの市場になると予測しており、さまざまな取り組みを行っている。例えば、IBMはLinux Foundationなどと協業し、APIの標準化および文書化を目的とする「Open API Initiative」を推進。また、銀行業界共通のIT標準を策定するためにBanking Industry Architecture Network(BIAN)と、ヘルスケア関連の情報交換の業界標準策定に取り組むFast Healthcare Interoperability Resources(FHIR)とも協業している。2015年11月には、日本IBMで、APIを活用した新たなサービスやアプリケーションの創出を目指す企業向けに、実際のAPI作成を支援する「APIクイック・スタート・プログラム」を提供。また、2015 年 9 月に、 IBM は、エンタープライズ Node.js と呼ばれる、広く使用されているアプリケーション開発ソフトウェアの主要プロバイダーである StrongLoop Inc. を買収したが、この技術をもとに2016年3月から IBM API Management と StrongLoopのソリューションを統合した「API Connect」 を提供する予定である。この「API Connect」もBluemixで利用できるようになる予定で、オンプレミス、クラウドにわたるハイブリッド環境で、セキュアなサービスを提供できるのはIBMらしい強みとなるだろう

IBM API Managementの設定画面
IBM API Management
(クリックで拡大)

URL http://www-03.ibm.com/software/products/ja/api-management
2016年3月2日 株式会社クラウディット 中井雅也
Azure API Management
AWS Lambda / Amazon API Gateway

 

機能

 Bluemixの「API Management」 サービスは、RESTまたはSOAPによるAPI を作成、管理、公開するために機能を提供する。
 API は、Swagger 定義または WSDL 定義からインポートが可能。また、プロキシー URL を使用するか、HTTP データ・ソースのデータをアセンブルすることにより、新規 API をリソースとあわせて作成することができる。
 API の使用方法、例えば、割当制限を設定したり、ポリシーを追加したり、さまざまなユーザー認証の要件で API を保護したりすることで、API を管理可能。
 API の構成に問題がなければ、Bluemix のアプリ開発者や外部の開発者が使用できるよう、それらを公開する。公開されたAPIは、Bluemixのカタログと開発者ポータルに表示されて、開発者が使用できるようになる。
 さらに、新しい「API Connect」による、StrongLoop の機能を使用することで、Node.js LoopBack と Expressフレームワークを使用してマイクロサービスと API を作成できるようなる。
 また使用可能なコネクターを使用して、バックエンドにモデルをマップし、データベースからモデルを検出する
 そして、Node.js アプリケーションの作成、デバッグ、プロファイル作成、拡張、モニターを行う。
 また、API 検索、対話式の API テスト、API の使用状況のアナリティクスなどの機能を提供するAPIポータルを提供する

使いやすさ

Bluemixの日本語化されたコンソールでAPI Managementの設定や管理ができる。

マニュアルや書籍など

IBMによって、さまざまなWebページやドキュメントが日本語で提供されている。

拡張性

BluemixのAPI Mamangementサービスにおいて、現時点で高可用性やスケーリングの機能についての詳細は明らかにされていない。オンプレミスのIBM API Managementではフェールオーバーやロードバランシングの機能が提供されている。

可用性

BluemixのAPI Mamangementサービスにおいて、現時点で高可用性やスケーリングの機能についての詳細は明らかにされていない。オンプレミスのIBM API Managementではフェールオーバーやロードバランシングの機能が提供されている。

SLA

2016年1月時点でBluemix全体のSLAが定義されていない。
2016年11月の最新のSLAドキュメントでは、Bluemix Publicを複数リージョンで分散配置した場合かBluemix Dedicated、Bluemix Localを地理的に離れたデータセンターに分散配置した場合でPlatform Serviceに対して99.95%の可用性を、単一の環境にBluemix Dedicated、Bluemix Localを配置した場合で99.5%の可用性をサービスレベルとして規定し、これに達しない場合は使用料金が割り引かれる。ただしIBMはSLAをよく変更するので(2016年だけで3バージョンある)、最新のSLAを確認する必要がある。

自動化機能

マネージドサービスとして提供されており、インフラの管理を意識することはない

セキュリティ

APIのインフラをパブリッククラウド(Bluemix)だけでなく、Bluemixの専有、あるいは、ローカルのオプションも含めてオンプレミスにまで展開できるため柔軟性が高く、セキュリティの厳しい要件にも対応しやすい。Webサイトを通じたデータ伝送の保護にはSSLを使用する。APIキーによってアプリケーションを識別する。Basic認証、OAuth認証によってアプリケーションユーザーを認証する。

データセンターの場所

マルチテナントのパブリックPaaSとしてのBluemixは米国、イギリス、シドニーのデータセンターからの提供となる。ただし、利用できるサービスがリージョンによって異なるので、現時点では米国を選択するのが無難である。シングルテナントのBluemix DedicatedではSoftLayerの東京データセンターも選択できる。オンプレミスのBluemix Localは、当然だが任意のデータセンターで稼働させることができる。また、IBM API Management のソフトウェアは本来オンプレミス用のソフトウェアである。

実績・シェアなど

Bluemixとしての事例ではないが、IBM API Managementの事例として、Glickenhouse氏は、カナダのLCC(格安航空会社)「ウエストジェット航空」、カナダの銀行「INGバンク」、イギリスの小売業「Asda」などがある

エコシステム

IBMはLinux Foundationなどと協業し、APIの標準化および文書化を目的とする「Open API Initiative」を推進。また、銀行業界共通のIT標準を策定するためにBanking Industry Architecture Network(BIAN)と、ヘルスケア関連の情報交換の業界標準策定に取り組むFast Healthcare Interoperability Resources(FHIR)とも協業して、エコシステムの拡大を図っている。

価格および支払い方法

API Managementサービスの無料枠により、1ヶ月あたり5000回までのAPI呼び出しが可能。無料枠を超えるとAPI呼び出し10万回あたり593円の料金。 

API呼び出しが1ヶ月50000回までの「Essentials」プランは無料。1ヶ月10万回までのAPI呼び出しごとに課金される「Professional」プランが80USドル。さらに上位のプランも用意されている。