クラウド図鑑 Vol.43

VMwareのクラウド「vCloud Air」は、オンプレミスの仮想化基盤として80%以上の高いシェアを持つ「vSphere」との組み合わせによるハイブリッド構成を前提としたクラウドサービスである。仮想化基盤(vSphere)が同一だから当然だが、オンプレミスのvSphereの仮想マシンは、vCloud Airのクラウド上でシームレスに動作させることが可能だ。もちろん、仮想化基盤や仮想マシンの操作や設定は、VMwareの管理ソフトウェア「vCenter」で、オンプレミスでもvCloud Airのクラウドでも同じように行える。この特性を利用して、災害や緊急事象が発生した時に、オンプレミスのvSphere上のリソースをvCoud Airのクラウドで復旧しサービスを継続するBCPおよびディザスターリカバリーのソリューションが、2015年1月に提供開始した「vCloud Air Disaster Revovery」である。これにより、かつては、遠隔地のデータセンターに高価なハードウェアやソフトウェアを一式準備する必要があったディザスタリカバリー環境の敷居が格段に低くなる。基盤となるのは、「vSphere Replication」によるオンプレミスのvSphereからvCloud Airのクラウドへの仮想マシンのレプリケーションである。ちなみにVMwareは、vCloud Air上の仮想マシンを保護するバックアップのサービスとしては「vCloud Air Data Protection」のサービスも提供している。なお、2015年10月にDellによるEMCの買収が発表され、2015年10月21日にはEMCとVMwareによる合弁会社としてEMCグループのクラウドを統合する「Virutustream」の設立を発表し、VirtuatreamのIaaS、VMware vCloud Air、EMCのストレージサービスなどを統合するとしていたが、その後の発表では、VMwareは、この合弁会社の設立から撤退する意向だと伝えられている
(2016年4月24日追記)
なお、現在、日本ロケーションから提供しているvCloud Airのサービスは2016年3月31日をもって終了すると発表した(2016年4月22日)。日本国内のvCloud Air の利用者は、ソフトバンクと国内134の VCloud Air Network パートナーに移行することが推奨されている。詳細についてはVMwareによるFAQを参照いただきたい。

vCloud Air Disaster Recoveryのコンセプトビデオ(英語)

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URL
http://www.vmware.com/jp/cloud-services/infrastructure/vcloud-air-disaster-recovery
2016年1月20日 株式会社クラウディット 中井雅也

機能

 「vCloud Air Disaster Recovery」は、オンプレミスのvSphere環境に対するvCloud Airのクラウドでの障害復旧での障害復旧と保護を可能にする
 障害復旧と保護の対象となるのは、オンプレミスのvSphere上の仮想マシンで、通常時はハイパーバイザー ベースのレプリケーション エンジン「vSphere Replication」によりvCloud Air上にレプリケーションが行われ、災害や緊急事象が発生した時に、vCloud Airのクラウドで仮想マシンを稼働させることでITリソースのサービスを継続できる。目標復旧ポイント(RPO)を15 分から 24 時間の範囲で仮想マシンごとに設定可能。目標復旧時間(RTO)は、 vCloud Air のサービス レベル アグリーメント(SLA)に従って 4 時間以内に設定されている。ネットワークは基本的にインターネットでもよいが、転送データ量が多い場合は有償オプションの専用線ネットワークを使用して、プライマリ データセンターと vCloud Air の間で、最大 1 Gbps のレプリケーション トラフィックを転送できる。また、有償オプションでオフラインでのデータ移行も可能だ。
 vCloud Air上では仮想マシンなどの単位ではなくリソースのプールが割当てられ、最少構成で10GHzの仮想CPU、20GBの仮想メモリー、1TBのストレージ、2つのパブリックIPアドレス、10Mbpsのネットワーク帯域を環境に応じて割り当てて使用する。プールのリソースは追加が可能。
 vCloud Airのクラウドでは、ファイアウォールやロードバランサー、VPN、DHCP、NATなどが使用可能。またHAクラスタリングによる冗長化も標準で使用可能。
 ゲストオペレーティングシステムは、vSphereでサポートされているすべてのゲスト オペレーティング システムである。 
 フェールオーバーとフェールバックは基本的に自動ではないが、コンソールから簡単な操作で行える。またvRealize Orchestratorによってフェールオーバーの自動化も可能。テストのためのフェールオーバー、計画されたフェールオーバー、計画されていないフェールオーバーが可能。フェールオーバーのテストは回数無制限で行える。フェールバックするまで最大30日間 vCloud Air上の仮想マシンを使用可能。
 vCloud Air 上 の vCloud Air Disaster Recovery 環 境 は、 以下の4つの方法で管理可能。 1)  vCloud Air のコンソール  2) vCloud Air API  3) vCloud Air Disaster Recovery の API 拡張機能(テスト / フェイルオーバー ワークフローの自動化が可能) 4) vCenter Server
 WindowsのVSS(Volume Shadow Copy Service)に対応したアプリケーションであれば、スナップショットによる静止点を取得し、整合性の高いレプリケーションを行うことができる。
 今後、リカバリ プランの管理と自動化を提供する Site Recovery Manager Air を提供する予定だという。

使いやすさ

日本語化されたvCloud Airコンソールのグラフィカルなインタフェースによって導入・設定ができる。またvCenterによって管理・運用ができるため、vSphereに慣れた技術者は、既に持っているスキルやノウハウを活かすことができる。

マニュアルや書籍など

VMwareによって、サービス説明書やユーザーガイドなど主なドキュメントは日本語で提供されている。

拡張性

vCloud Air Disaster Recovery の基本サブスクリプション では、仮想マシンを最大 500 台まで拡張可能。また、処理のボトルネックになるのはレプリケーションを行うネットワークの帯域だと思われるが、転送データ量が多い場合は有償オプションの専用線ネットワークを使用して、プライマリ データセンターと vCloud Air の間で、最大 1 Gbps のレプリケーション トラフィックを転送できる。また、有償オプションでオフラインでのデータ移行も可能だ。

可用性

Disaster Recovery では、テストフェールオーバーまたはライブ リカバリ処理の SLA (サービス レベル アグリーメント)を、仮想 マシン単位で 4 時間以内に設定している。この SLA を目標に、 vCloud Air でリカバリ対象となっているすべての仮想マシンが パワーオンされ、リモート アクセスが可能になる

SLA

サービスの利用可能性について、99.95% のSLAを規定している。

自動化機能

vRealize Orchestratorによってフェールオーバーの自動化も可能。マネージドサービスとして提供され、サービスの管理や運用はVMwareによって行われ、利用者が意識することはない。今後、リカバリ プランの管理と自動化を提供する Site Recovery Manager Air を提供する予定。

セキュリティ

vSphere ReplicationによってvCloud Airにレプリケートされるデータは暗号化される。またvCloud Airのデータセンターは、ISMSの世界的な認定基準 ISO / IEC 27001 認定を取得し、医療保険の携行性と責任に関する法律 (HIPAA)、および、経済的および臨床的健全性のための医療情報技術に関する法律 (HITECH)に準拠、SOC 1 (SSAE16 / ISAE 3402)、SOC 2、SOC 3 にも対応している

データセンターの場所

vCloud Airは、西日本、および、US7拠点、EU2拠点、オーストラリアのデータセンターで運用されている。
(2016年4月24日追記)
なお、現在、日本ロケーションから提供しているvCloud Airのサービスは2016年3月31日をもって終了すると発表した(2016年4月22日)。日本国内のvCloud Air の利用者は、ソフトバンクと国内134の VCloud Air Network パートナーに移行することが推奨されている。詳細についてはVMwareによるFAQを参照いただきたい。

実績・シェアなど

VMwareのWebサイトで、vCloud Air Disaster Recoveryの実績として、San Francisco Ballet、Carisbrooke Shipping、Legacy Reserves LP、National Physician Servicesなどが紹介されている。

エコシステム

vCloud Air Disaster Recoveryを含めたvCoud Airのソリューション全般を提供するために、日本ではソフトバンクテレコムとソフトバンク コマース&サービスと協業している。また、国内で推定1万人を越えるvSphereの認定プロフェッショナル(VCP)が、既存の知識やノウハウをvCloud Airでも活用しやすいため、vCloud Air Disaster Recveryに対応できる技術者は比較的見つけやすいと思われる。

価格および支払い方法

vCloud Disaster Recovery は月額課金で最小構成のリソースプールのCPU10GHz/メモリー20GB/1TBストレージ/10Mbpsネットワークとサポートで月額88,632円。